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ベートーヴェン:交響曲第8番【解説と名盤3選の感想】

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無邪気に

明るく!

ユーモラス♫

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「聴衆が交響曲第8番を理解できないのは、この曲があまりに優れているからだ」

《交響曲第8番》の公開初演の際、あまりに不評だったために漏らしたベートーヴェン自身の言葉です。

 

今回は、ベートーヴェン《交響曲第8番》解説とおすすめ名盤を紹介です。

 

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【解説】ベートーヴェン《交響曲第8番》

ユーモアあふれる名曲秘話

メトロノームの発明者でもあるヨハン・ネムポック・メルツェルという男がいた。ベートーヴェンは、メトロノームを愛用し、当時ウィーンに住んでいたメルツェルとも親しくつきあっていたのである。そのメルツェルが、1812年、ロンドンへ旅立つことになり、送別パーティーが開かれた。その席上、ベートーヴェンは、メルツェルとメトロノームを歌いこんだユーモラスなカノンをつくり、みんなで歌った。彼は、その旋律を、その後まもなく着手したこの曲(交響曲第8番)の第2楽章の主題として用いたという。

出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P40より引用

ベートーヴェンの代表的な交響曲と言えば副題が付き勇壮でスケールの大きなものです。以下の曲が有名です。

 

これらに比べて《交響曲第8番》は地味な存在であり、全楽章を演奏しても30分足らずの小規模なものです。しかし楽天的で明るい雰囲気を持つ交響曲第8番が意外と日常のベートーヴェンの横顔を表しているのかもしれません

解説にありますように、友人のメルツェルの旅立ちの際にユーモラスなカノンを作って別れを惜しんだというエピソードがあるくらいなのですから。

 

不評の名曲誕生

《交響曲第8番》は1814年2月27日に公開の場での初演が行われています。《交響曲第7番》を含めた数曲も初演されましたが中でも《交響曲第8番》は不評でした。

《交響曲第8番》の出来栄えに自信を持っていたベートーヴェンの落胆は大きく、思わず冒頭の一言を語ります。

 

「聴衆が交響曲第8番を理解できないのは、この曲があまりに優れているからだ」

 

この言葉が現代まで残っているために、むしろベートーヴェンのファンの間では人気の高い1曲となっています。

「不滅の恋人」が火付け役?

《交響曲第8番》を作曲の1812年の頃のベートーヴェンは恋をしています。アントーニエ・ブレンターノという既婚女性でした。

よく言われるところの「不滅の恋人」ではないかと言われる女性のひとりです。しかし、2人の恋はアントニーエが夫婦の間で妊娠したことで終わりを迎えたと考えられています。

「不滅の恋人」と呼ばれるアントーニエへの手紙は情熱的です。

 

「目が覚めてからは、ずっとあなたのことで頭の中はいっぱいです」

 

「完全にあなたと一緒か、全くそうでないか、どちらかでしか私は生きてはいけないのです」

 

以上の様々なエピソードから想像できますが、ベートーヴェンの人生において喜びの頂点とも言えるような時に《交響曲第8番》は作曲されているのです。

解説において、志鳥栄八郎先生は書かれています。

随所に上機嫌なベートーヴェンが顔を出しているような、無邪気な明るさにみち、彼の全交響曲のなかでも珍しく“笑い”のある音楽となっている

出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P40より引用

 

初演:1813年4月20日(非公開)

   1814年2月27日(公開)

編成:弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2、ホルン×2、トランペット×2、ティンパニ

 

【各楽章を解説】ベートーヴェン《交響曲第8番》

第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ(快速に元気で、ゆかいに)

前奏曲を入れずにいきなり主題から入ります。率直で飾らない《交響曲第8番》らしい始まりです。

このあまりにも楽天的な明るさが初演当時の聴衆の耳に気に入らなかったのかもしれません。しかし、今あらためて聴いてみれば本来ユーモア好きで社交的だったベートーヴェンの素顔がうかがえる曲と言えそうです。

タン、タタタタタタタ〜♫

タタタタタタタ〜♫

楽しくって嬉しくて、ワクワクするよな《交響曲第8番》が展開していきます。

 

第2楽章 アレグレット・スケルツァンド(中くらいの速さ、ユーモアを込めて)

解説にありましたがメトロノームの開発者メルツェルの送別パーティの際に歌われたベートーヴェン作曲の歌曲です。タンタンタンタンタンタンタン…♫というリズムにメロディが乗っかるというとても明るい雰囲気の楽章です。

(ちなみにもととなったカノンは「親愛なるメルツェルよ、さようなら」WoO162と言い、別名「タ・タ・タ・カノン」とも呼びます。)

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第3楽章 テンポ・ディ・メヌエット(舞曲のテンポで)

メヌエット楽章ではありますが、優雅さの中にも力強いスケルツォ楽章的な要素も強く出ています。第2楽章をスケルツァンドにしたため指示をメヌエットにした可能性が考えられています。

第2楽章のユーモラスな印象を引き継ぎながら展開する楽しい楽章です。

 

第4楽章 アレグロ ヴィヴァーチェ(快速で元気に)

弾むテンポで始まって盛り上がりながら転調を繰り返し、変化に次ぐ変化を重ねながら展開します。フーガ風な華麗さをまといつつ、激しさを増していきます。

楽章のラストでは盛り上がりが頂点へと達しながら楽天性を発しながら感動的に終わっていきます。

 

【名盤3選の感想と解説】ベートーヴェン《交響曲第8番》

 

ブルーノ・ワルター:指揮 コロンビア交響楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

《交響曲第8番》の持つ愛情の深さが感じられ温かい名盤です。ユーモアや楽天的な曲調の中に人間の持つ優しさのようなものも感じられます。

少し淡々としていてマジメな印象もありますが、全体として聴いてみるとなんともジンワリと感性の部分に染み込んでくる名盤です。ベートーヴェンの音楽を通して、人間の持つ哀感や寂しさとその裏に潜む豊かな情感を思い出させてくれる。

それがワルターのベートーヴェン演奏の魅力の一つですね。《交響曲第8番》では明るい雰囲気を持った名曲ですがワルターの優しさというフィルターを通すと深い感動が迫ってきます。

 

オットマール・スイトナー:指揮 シュターツカペレ・ベルリン

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【名盤の解説】

全体的に夢見るような柔らかさが印象的であり、これほど《交響曲第8番》に合った音世界は珍しいくらいの名盤です。遊び心が少ない印象はありますが、非常に生真面目でソツがない名盤です。

聴いていてフワリと気持ちを和らげてくれるイメージであり《交響曲第8番》を聴く上で出会っておきたいところですね。朗らかさと透明度が見事に表されたスイトナーらしさがよく引き出された名盤です。

 

ウォルフガング・サヴァリッシュ:指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 

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【名盤の解説】

テンポを速めにしてスタイリッシュにまとめています。上品な香りを感じるのはロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のたおやかなアンサンブルの妙と言えそうです。

サヴァリッシュの名盤は、あまりもてはやされることはありませんが古典派からロマン派の演奏の素晴らしさは見逃せません。

ベートーヴェンの交響曲の録音は特にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を起用していて高貴な印象の名盤です。

《交響曲第8番》を心から楽しめる明るい基調の名盤でもあります。

 

【まとめ】ベートーヴェン《交響曲第8番》

さて、ベートーヴェン《交響曲第8番》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

  • 無邪気に
  • 明るく!
  • ユーモラス♫

学校の音楽室の絵や有名な胸像のしかめっ面をした姿ばかりがベートーヴェンではありません。むしろ、本来は人付き合いが大好きでユーモアのある人だったようです。

その本質が音楽に表れた名曲《交響曲第8番》、オススメですよ。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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