手塚治虫の「火の鳥」
その発想のもとともなった
イマジネーション豊かな名曲!!
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もともとは、ロシアの民話。
手塚治虫の《火の鳥》とは、全く関係のない物語です。
ただ、手塚治虫が、ストラヴィンスキー:火の鳥を聴いている際に、物語の発想、インスピレーションを得たというエピソードがあります。
そんなイマジネーション豊かで、壮大な展開が楽しい音楽という感想です。
そんな、ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》のもととなった物語である、ロシア民話のあらすじと名盤を解説です。
- 【楽曲を解説】ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
- 【あらすじを解説】ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
- 【曲目】ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
- 【3枚の名盤の感想と解説】ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
- 【解説と名盤、まとめ】ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
【楽曲を解説】ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
ストラヴィンスキー:火の鳥、作曲時のエピソードがわかる、こんな解説があります。
稀代の興行師、(中略)ディアギレフは、バレエ・リュッス(ロシア・バレエ団)の主宰者として、今世紀初頭のヨーロッパ・バレエ界に偉大な足跡を残した人物である。(中略)
ディアギレフは、ある日、ストラヴィンスキーの新作「花火」を聴いて、その斬新な感覚に注目し、新作バレエの音楽を依頼した。
それが、ロシアの古い民話を題材とした「火の鳥」で、1910年のパリでの初演は、大成功を収め、28歳の無名の青年作曲家の名は、一夜にしてヨーロッパ中に知れわたったのである。
出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」P148より引用
解説にあります、ディアギレフは、ロシアの民話をもとにした、バレエ作品を構想し、《火の鳥》の元になる台本を書きました。
そして、このバレエ作品につける曲については、はじめ、作曲家のリャードフに依頼する予定でいました。
しかし、このリャードフは、作曲に時間をかけるタイプとのことだったので、予定の公演日には、間に合わないと判断します。
そのため、当時、無名であった、ストラヴィンスキーに白羽の矢を立てます。
そして、ストラヴィンスキーは、見事、その依頼を、素早く遂行し、公演に間に合わせたのでした。
そして、解説にあるとおり、大成功し、これがもとで、作曲依頼が増え、名実ともに、評価をあげていったとのことです。
その後、ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》とともに有名な、《ペトルーシュカ》《春の祭典》の、三大バレエ音楽を作曲するチャンスを得ることが出来たのでした。
【あらすじを解説】ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
それでは、ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》のあらすじを解説します。
第1幕
火の鳥を追い求めて、さまよう、イワン王子は、「魔王カスチェイの庭園」へやってきます。
すると、黄金のリンゴのなる「魔法の木」を目当てに、やってきた火の鳥を発見します。
「これ幸い」とばかりに、火の鳥をおさえるイワン。
これに対し、火の鳥は
「私を解放してください。それと引き換えに、あなたが危機のときに呼んでくれれば、必ず助けに来ることを約束します」。
そう言って、イワンに、逃してもらえるよう嘆願します。
そして、火の鳥は、自分の羽根をぬき、イワンに渡して、去っていくのでした。
さて、この「魔王カスチェイの庭園」を見渡した先には、魔王カスチェイの城が見えます。
ここには、13人の乙女が囚われの身となっているとのことです。
すると、城門が開き、その13人の乙女たちが、現われ、黄金のリンゴのなる「魔法の木」のもとで舞いを踊りはじめます。
そのさまを、ひっそりと、うかがっているイワンは、そのうちのひとり、ツァレヴナ王女に恋をし、近づきます。
そして、夜が白々と開けるころ、乙女たちは再び、城に幽閉されるべく、戻っていかなくてはならない時間がきます。
そして、ツァレヴナ王女とともにいる、イワンを発見した魔王カスチェイは、手下を使って、イワンを捕らえます。
そして、イワンを石に変えようと、魔法をかけようとするカスチェイ。
その時、イワンは、とっさに、火の鳥から渡された羽根を振ります。
すると、目の前に鮮やかな、燃えさかる火をまとった、火の鳥が現われます。
そして、火の鳥は、魔王カスチェイの手下たちを、バタバタと気絶させていきます。
開放されたイワン。
火の鳥は、魔王カスチェイの魂は、卵の中に存在していることをイワンに伝えます。
そして、「魔法の木」の根もとにある「卵」を発見したイワンは、その「卵」を破壊します。
すると、カスチェイは、不気味な音とともに死を迎えるのでした。
第2幕
13人の乙女たちは、みな自由を手に入れます。
そして、過去、勇敢にもカスチェイに挑んで、石に変えられてしまっていた、騎士たちも、もと通りに復活します。
そして、イワンは、晴れて、ツァレヴナと結婚し、物語は大団円を迎えます。
【曲目】ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》は、管弦楽の彩り豊かに展開します。
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》は聴くだけでも充分に、楽しめます。
けれども、あらすじを知った上で聴くと、さらに、楽しみも増えますね。
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》には、いくつかの版がありますが、原典版である「1910年版」の内容を書きとめておきます。
(ちなみに、短い組曲版としては、1911年版、1919年版、1945年版が存在しています。)
- 導入部
- カスチェイの魔法にかかった庭園
- 火の鳥の出現
- 火の鳥の踊り
- イワンは火の鳥を捕らえる
- 火の鳥の嘆願
- 魔法にかけられた13人の王女たちの出現
- 金のリンゴとたわむれる王女たち
- イワン王子、乙女たちの前に現れる
- 王女たちのロンド
- 夜明け
- 怪物の登場、イワンは捕らえられる
- 魔王カスチェイ、登場
- カスチェイとイワンとの対話
- 王女たちのはからい
- 火の鳥、出現
- 火の鳥の魔法、手下たちの踊り
- カスチェイ一味の凶悪な踊り
- 火の鳥の子守歌
- カスチェイの目覚め
- カスチェイの死
- カスチェイ城の消滅、石の騎士たち復活、大団円
【3枚の名盤の感想と解説】ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
ピエール・ブーレーズ:指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
アルパカのおすすめ度★★★★★
色彩感が、際立っていて、繊細でありながら、ここぞと言うところに迫力を感じます。
とてもバランスが良く、また、知的に構築された名盤のほまれの高い1枚。
ブーレーズ指揮のアルバムは、1975年に録音された、この名盤と、1992年に録音された2種類あります。
音の良さでいえば、1992年版がいいと思いますが、少しきれいに、まとまりすぎという感想はあります。
ただ、こちらも素晴らしい1枚ですので、オススメです。
エルネスト・アンセルメ:指揮 ニューフィルハーモニア管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
アンセルメ、死の3ヶ月まえに行われた渾身の名盤。
86歳の指揮とは、とても思えない、とても熱量の高い1枚で、強弱のつけ方や、柔らかい感性のみずみずしさは、絶品です。
どこまでも、美感を追求したという感想のアンセルメの素晴らしい名盤。
作曲者のストラヴィンスキーとも親交があったアンセルメの、作曲者の思いをも乗せた遺言状とも言えます。
この老紳士の最後まで失わなかった音楽への情熱を聴き取りたい。
そんな名盤です。
ピエール・モントゥー:指揮 パリ音楽院管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
モントゥーの豊かにふくらむ音世界。
その中で響く、ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》の羽根は、輝いていて美しい。
そんなイメージの名盤です。
行きすぎない表現の中に、気品や、たおやかさを感じさせて飽きさせることはありません。
そのフルーツのような爽やかさと、明るい雰囲気の、ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》は、聴いていて心地いい感想の名盤ですね。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》
さて、ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》、名盤の紹介と、あらすじの解説はいかがでしたか?
こんなイマジネーションを豊かにして聴ける、ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》。
様々な彩りの名盤にふれることによって、たくさんの《火の鳥》の世界を冒険するのも悪くないものです。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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