やる気が起きない時に効く(聴く)
ウツ病にかかった王子の冒険物語り!!
ちょっとイライラする!
そんな時、外向的な人は、怒りが爆発しちゃうし、内向的な人はウツウツしちゃう…。
今回紹介する、プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》の、主人公は、ウツ病で苦しむ王子様…。
そんな、本来、心優しい王子の冒険物語を音楽にしたのが、プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》なのですね。
- 【あらすじを解説】プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》
- 【各曲を解説】プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》
- 【3枚の名盤を解説】プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》
- 【解説と名盤、まとめ】プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》
【あらすじを解説】プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》
ここで、ウツをわずらう、「王子の冒険物語り」プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》の、あらすじを書きとめておきましょう。
王子がウツ?王様の悩み…
とある王国の王子は、うつ病をわずらっていました。
心配する王様は、なんとか王子を笑わそうと、道化師のトルッファルディーノを呼び寄せます。
王子を笑わすために、さまざまな道化を繰り出しますが、王子はニコリともしません。
そこで、トルッファルディーノは、芸人たちのいるパーティに、連れて行くことを思いつきます。
パーティに集まる人々は、大笑いしていますが、やはり、王子はまったく笑うことはありませんでした。
さて、宮中には、王子がうつ病であるのを、いいことに王位を狙うものがいました。
王様の姪(めい)です。
この姪は「王子が王位を取れなければ私が王位につける」と考え、大臣レアンドレと組んで、王子のうつ病がこのまま続くことを画策していたのでした。
さらに、姪と、大臣レアンドレのたくらみに協力する、魔女のモルガーナがいました。
なんとか王子のうつ病が治らないように、魔女の力を借りて、「王子の笑い」を阻止しようとしていたのでした。
しかし、魔女モルガーナが、パーティ会場にいることに気づいた、トルッファルディーノが、魔女モルガーナに飛びかかります。
そのはずみで、魔女モルガーナは、すっころんでしまい、その両足をおっぴろげたおかしな姿に、王子は大笑い。。。
それを見た、プライド高き魔女モルガーナは、怒りを爆発させます。
そして、王子が「3つのオレンジへの恋」をしてしまう魔法をかけてしまいます。
魔法にかかった王子は、「クレオンタ城にオレンジを取りに行く!!」と叫びながら、トルッファルディーノを連れて、宮廷を飛び出しました。
王子の自分発見の旅!
クレオンタ城にたどり着いた、王子とトルッファルディーノ。
オレンジの、ありかには、たどり着いたものの、そこには、恐ろしい女料理人がいて、大きなひしゃくを振り上げて、構えています。
その時、トルッファルディーノは魔法のリボンを取り出します。
この魔法のリボンは、旅の途中で、善良な魔法使いの、チェリオからさずかったものでした。
そのリボンが発する魔法にやられ、すっかりリボンに気を取られた女料理人。
そのスキを狙って、3つのオレンジを奪い取り、王子とトルッファルディーノは逃げ去ります。
広大な砂漠の中、王子とトルッファルディーノは、「3つのオレンジ」を運びますが、なぜかその「3つのオレンジ」が、どんどん大きく、ふくらんでいくではありませんか。
そんなオレンジを運ぶ2人は、疲れて果ててしまい、王子は眠ってしまいます。
美しき、ニネッタ王女との出会い
トルッファルディーノは、喉がかわいたため、オレンジを食べるべく、皮を切りますが、なんと、そこから、ひとりの王女が姿を現します。
「私、のどが渇いたわ」とその王女。
驚いたトルッファルディーノは、水分を確保するため、もう一つのオレンジも切ります。
すると、その中からは、さらに、もうひとりの王女が現れます。
そして、またしても、
「私、のどが渇いたわ」とその王女が水を欲しがります。
しかし、耐えきれなくなった王女2人は、喉の渇きと砂漠の暑さに耐えられなくなり、死んでしまいます。
目を覚ました王子は超ビックリ!!
そこで、2人の前を通り過ぎようとする、兵士に王女たちの弔いを頼みます。
それとともに、最後のオレンジを切ってみました。
すると、その中からは、またまた王女が現れます。
この王女の名を「ニネッタ」と言いました。
そして、やっぱり「私、のどが渇いたわ」とひとこと…。
今度こそ、このニネッタ王女を救いたい2人。
すると、塔の近くに道化役者たちがいることを、発見した2人は、水を運んできてもらいます。
王子はそれを、王女に飲ませ、命を救うことに成功します。
そして、2人はお互いに好意を寄せ合い、結婚の約束をします。
王子は、ニネッタ王女を宮殿に迎えようとして、ドレスを取りに、一度、宮殿に戻りました。
その間、魔女のモルガーナがやってきて、王女に魔法のピンを刺し、王女は、ネズミに姿を変えられてしまいます。
そして、魔女モルガーナが連れてきた召使いを王女のいた場所に座らせました。
そこに王様を連れて、王子が戻ってきます。
ニネッタ王女の姿が、変わったことに驚く王子ですが、王様は「結婚を約束したのなら、それを破ってはいけない」と王子を説得します。
そして、ニネッタ王女になりすました、召使いを宮殿に迎え入れるのでした。
たくらみ、暴かれる!!
宮殿の玉座の前で、王子と王女(になりすました召使い)を祝福しようと集まってくる側近たち。
そこで、玉座の幕が上がります。
すると、王女のイスの上に1匹のネズミがいました。
そこに善良な魔法使いのチェリオがあらわれ、ネズミの姿に変えられたニネッタ王女にかかった魔法を解きます。
すると、そのネズミは、もとのニネッタ王女の姿に戻りました。
トルッファルディーノは、召使いの正体を暴き、さらに、王位争奪をたくらむ大臣レアンドレのたくらみも暴きます。
悪事をたくらむ者たちは最終的には、追放処分となります。
そして、王子は、すっかりウツ病も治り、ニネッタ王女とともにみんなに祝福されて、劇は幕を閉じるのです。
【各曲を解説】プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》
それでは、プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》の各曲について解説したいと思います。
この曲は第1曲から第6曲までの6曲で成り立っています。
第1曲 変わり者たち
スネヤドラムのリズムから始まり、そこにトランペットが絡みながら、ドラマティックに展開する1曲。
個性豊かなキャラクターたちが活躍する、「3つのオレンジへの恋」の序曲的な位置づけになります。
過保護に育てられて、大人になれない王子や、道化師のトルッファルディーノ。
おどけた善人の魔法使いのチェリオや、王位を狙う大臣レアンドレや、魔女のモルガーナ。
そして、美しい王女ニネッテの姿が浮かびます。
第2曲 地獄の場面
善人の魔法使いのチェリオと、悪人の魔法使いのモルガーナは、ライバル同士。
場所は地獄の世界。
2人は、カルタ遊びに興じますが、善人の魔法使いのチェリオが、負けてしまい、トボトボと去っていきます。
基本的には、地獄のせせこましい世界を、表現したテンポの速い1曲です。
第3曲 行進曲
プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》の、もっとも有名な1曲です。
ファンファーレが鳴り響き、その後に続くように、行進曲(マーチ)の勇ましいリズムとメロディが展開します。
これは、「3つのオレンジ」を求めて旅に出発する王子の、「成長へ向けての冒険」の始まりのイメージですね。
第4曲 スケルツォ
軽快で、親しみやすいメロディであり、ノリのいい1曲です。
王子とトルッファルディーノの「3つのオレンジへの恋」に出会う旅の途中の、勇ましくも楽しい一面を描いているように感じます。
第5曲 王子と王女
「王子の初めての恋」なのかな。
オレンジから誕生した、美しいニネッタ王女に出会った衝撃と感激。
すっかり、見とれてしまう王子の心の情景が描かれているように感じます。
第6曲 逃亡
3つのオレンジを見事に奪い取り、城から逃走する王子とトルッファルディーノの活躍が活き活きと描かれていますね。
【3枚の名盤を解説】プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》
アンタル・ドラティ:指揮 ロンドン交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
骨太な構築感がありながら、童話のような音感覚も、ところどころに感じる名盤。
行進曲も、どこか可愛らしい。
そんな、おかしみを含んだ、プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》の物語りの、映像が浮かんでくるような見事な名盤ですね。
ロリン・マゼル:指揮 フランス国立管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
エネルギッシュで、元気な表現の、プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》。
もちろん行進曲の勢いも凄いパワーが充填されています。
一音、一音のコントラストも強めに行進力、前進力が爆発している名盤ですね。
シャルル・デュトワ:指揮 モントリオール交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
まさしく「オレンジのような」フレッシュで、彩りのあざやかな名盤。
織りなされる楽器たちの美感が、あますところ無く発揮されて、絶妙にまとまってます。
それでいて、感性のキラメキはやっぱり、シャルル・デュトワの独壇場。
そんな名盤です。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》
さて、《プロコフィエフ:3つのオレンジへの恋》の名盤の紹介と、解説はいかがでしたか?
《プロコフィエフ:3つのオレンジへの恋》の主人公の王子のように、ちょっと、うつ気味で、どうも気持ちがふさぐ…。
そんな時は、音楽を通して、王子とともに冒険の旅に出てみませんか?
聴き終わったころには、心が晴れているかもしれませんよ。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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