ちょっとアンニュイ(退屈)な時に聴きたい♫
竿の先、静かにとまる
トンボをながめる時のよな…。
- 【高雅な解説】ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
- 【高雅な曲目を解説】ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
- 【高雅な名盤6枚を解説】ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
- 【解説と名盤、まとめ】ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
【高雅な解説】ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
「雅(みやび)やかで、気高い」ラヴェル:高雅で感傷的なワルツのエピソードを含む、こんな解説があります。
ラヴェル自身、《高雅で感傷的なワルツ》 の根元(ルーツ)がシューベルトであることを告白している。
シューベルトはたくさんのワルツを書き遺(のこ)したが、その中には《34の感傷的なワルツ》という曲集と、《優雅なワルツ》とが含まれている。もっとも、シューベルトからいただいたのは題名だけで、それも2つを1つにしたわけである。(中略)
ラヴェルは、 この曲集を、緩急とりまぜ8曲で構成し、8曲目には、感傷的な回想が行われる仕掛けになっている。
シンプルにメロディが素晴らしいシューベルトのワルツ。
そのワルツは短いものですが、キレイな流れを持つ、いい曲です。
少しおしゃれで、どことなく、フランス的な趣味をも感じる曲です。
おそらく、そんなところが、フランス人のラヴェルの、好むところとなったのではないでしょうか。
これを聴いて、感性的なラヴェルの、インスピレーションの泉が、こんこんと湧きだしてしまったのだと思います。
【高雅な曲目を解説】ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
このラヴェル:高雅で感傷的なワルツという曲目は、はじめはピアノ曲として作曲されました。
その後、ラヴェル自身の手によって、管弦楽版に編曲されています。
この管弦楽版の、ラヴェル:高雅で感傷的なワルツは、「アデライド、または花言葉」という題名の、バレエ作品の曲目として、完成させています。
そのバレエは、1912年に初演されています。
今回は、このバレエ作品の内容、曲目に沿って解説していきます。
このバレエの物語は、「花言葉」をたくみに使った曲目となっています。
第1曲 モデレ(中くらいの速さで)
気高き女性、アデライドの館で、パーティが開かれています。
胸元にチューベローズ(花言葉=危険な恋)の香りを忍ばせて、ふるまうアデライド。
第2曲 アセ ラン(十分に遅く)
物思いにふけるクセのある、感傷的な青年、ロルダンが登場。
アデライドを見つけたロルダンは、自分の「好き」な気持ちを託した花、キンポウゲ(花言葉=栄誉)を渡します。
第3曲 モデレーアタッカ(中くらいの速さで、休まずに)
アデライドは、そのキンポウゲの花で花占いをしますが、その結果、ロルダンのアデライドに対する誠実な思いを知ります。
第4曲 アセ アニメ(十分に活き活きと、速く)
アデライドとロルダンの2人が踊っていると、そこに公爵がやってきます。
第5曲 プレスク ラン(ほとんど遅く、ゆるやかに)
公爵はアデライドに、ひまわり(花言葉=あなただけを見つめる、いつわりの富)を渡します。
第6曲 アセ ヴィフ(十分急速に、活き活きとした)
アデライドは丁重に、公爵の申し出を拒(こば)みます。
しかし、それを見た、気が弱く、自信のないロルダンは、不安にさいなまれてしまいます。
第7曲 ムワン・ヴィフ(速さを少しおさえて)
公爵はアデライドを踊りに誘いますが、断られてしまいます。
そして、アデライドは、不安にさいなまれるロルダンを、なだめて踊りを続けます。
第8曲 エピログ ラン(終曲、遅く、ゆるやかに)
パーティが終わった後、公爵は再び、アデライドを誘います。
しかし、アデライドは、アカシアの花(花言葉=友情、プラトニック・ラブ)を贈り、ロルダンには、白いケシの花(花言葉=忘却)を贈ります。
ロルダンは、これに対して、落ち込み、気をふさいでしまいます。
しっかり気落ちしてしまうロルダン、そんなロルダンにアデライドは赤いバラ(花言葉=愛しています)を贈りなおします。
このアデライドの告白によって、2人は、お互いに思いが通じ、物語は終わっていきます。
【高雅な名盤6枚を解説】ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
ピアノ版3枚
ヴラド・ペルルミュテール:ピアノ
アルパカのおすすめ度★★★★☆
アンニュイな雰囲気が漂いながら、ほんの少しのデカダンス(退廃的)な名盤。
そんな中に、どこか高貴な出で立ちを感じせます。
なんとも淡い色彩の中にも彩度を少し落とし気味。
そんなニクくて、おしゃれなバランス感覚のある名盤でもありますね。
マルタ・アルゲリッチ:ピアノ
アルパカのおすすめ度★★★★☆
女性らしからぬ力強さとともに、繊細さが同居した名盤。
タッチの華麗さや、豪華さはラヴェルの曲目の華やかさにはピッタリ。
若々しくみずみずしい感性と、輝くばかりの個性が発露した名盤ですね。
サンソン・フランソワ:ピアノ
アルパカのおすすめ度★★★★☆
キレが良くて、洗練された名盤。
ピアノの歌わせ方もエレガントですし、皮肉っぽい斜に構えたカッコよさが、フランスっぽい。
録音が古くて、音はよくありません。
でも、ちゃんと耳を澄ませて、フランソワのピアノの語り口を聴き取れば、ウキウキするフランスの町並みまで想像できそうな名盤ですよね。
管弦楽版3枚
アンドレ・クリュイタンス:指揮 パリ音楽院管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
優雅で、ゆったりとしたテンポの、味わいの深い名盤です。
感性のきらめきと、揺るぎないバランスの良い音世界が、ラヴェルにはピッタリとハマります。
ラヴェル演奏の自信のあらわれと、温かさが気持ちいい。
そんな名盤ですね。
ジャン・マルティノン:指揮 パリ管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
凛とした品があり、格調高いラヴェルが聴きたかったら、マルティノンの演奏がいいですね。
気持ちいい朝のないだ湖面をゆく小舟を想像するような、さわやかさも感じる名盤。
身なりの整った紳士が、ほほ笑みながら会話するさま。
それは、すなわちマルティノン、その人、そんなイメージです。
華やかさというよりは、つつましさの感じる名盤です。
ピエール・ブーレーズ:指揮 クリーヴランド管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
洗練された、現代的演奏で好感が持てます。
フランス的な趣(おもむき)に欠けるという意味では、クリュイタンスや、マルティノンとはかけ離れますが、感性に流されない、スッキリ系な名盤もいいものです。
知性や、「冷静」のテイストが楽しめる名盤に仕上がっていると感じますね。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
さて、ラヴェル:高雅で感傷的なワルツの、名盤の紹介と、解説はいかがでしたか?
「どうも日ごろ、バタついていて、『高雅で、気高き精神』を忘れ果てて生きているぞ」。
そんな余裕のない自分に気づいたら、ラヴェル:高雅で感傷的なワルツを聴くという、「高雅な」時間を持つなんていうのもいいものですね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。