心地いいメロディがいっぱい!
劇中、姿を見せない「アルルの女」のナゾ!!
物語としては悲劇。
それなのに、全体的に「音楽は、明るくて元気なものが多い」のが特徴です。
メロディも美しいですね。
【楽曲を解説】ビゼー:アルルの女
ビゼー:アルルの女の、こんなエピソードを含む、解説があります。
(戯曲、アルルの女が)パリのボードヴィル座で上演された時、支配人カヴァロの依頼で、ビゼーはこの劇のために27曲の付随音楽を作曲した。
不幸にして、劇の評判はかんばしくなかったが、自分の音楽に自信をもっていた彼は、なかから4曲を選んで演奏会用組曲とした。
これが第1組曲で、彼の死後、友人のギローが4曲を選んでまとめたのが第2組曲である。
出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」P112より引用
ビゼーがアルルの女の作曲を依頼された際、小編成のオーケストラ用に作曲してほしいとの要望を受けました。
しかし、ビゼー自身は、もっと大規模なものを作曲したいとの思いがあったようです。
そのため、あまり満足のいく仕上がりには、ならなかったというエピソードがあります。
そして、解説にありました「劇の評判はかんばしくなかった」ことが、組曲を作曲する動機になったのも、また事実です。
また、ビゼーの死後、友人のギローが、ビゼー:アルルの女から、4曲を選んで、第2組曲をまとめたことは解説にありました。
この中に、有名な「メヌエット(第2組曲の第3曲)」が入っています。
これは、ビゼーのオペラ《美しいパースの娘》からの抜粋です。
つまり、このメヌエットだけは、 純粋な、ビゼー:アルルの女からの抜粋では、ないわけなのです。
【簡単にあらすじを解説】ビゼー:アルルの女
それでは、簡単にあらすじを解説したいと思います。
裕福な農家の長男、フレデリ。
彼は、アルルの闘牛場で、見かけた女に恋をします。
田舎の豊かな家庭に育ったフレデリは、地元の農家の娘、ヴィヴェッタと、すでに婚約しているにもかかわらずアルルの女に、ご執心。
想いの伝わらない、もどかしさで食事も喉を通りません。
フレデリの母親はじめ、家族は、ちゃんとヴィヴェッタと結婚してほしいと願いますが、当のフレデリが、アルルの女を忘れられないのです。
そんなフレデリの思いを知ったヴィヴェッタは、フレデリの本当の幸せのためならと、身を引くことを決心します。
そして、それを知らされたフレデリは、ヴィヴェッタの純粋な思いを知り、アルルの女への思いを、あきらめてヴィヴェッタと結婚することを決めます。
しかし、家畜の番人である、メティフィオが、アルルの女と恋仲であり、さらに駆け落ちをすることを知ります。
それを知った、フレデリは、再び落ち込むとともに嫉妬の炎に心を焼かれます。
そして、その苦しみに耐えきれずにフレデリは自ら、命を断ってしまい悲劇のラストを迎えるのです。
【各曲を解説】ビゼー:アルルの女
それでは、各曲について解説しましょう。
ちなみに、前述したように、物語は悲劇ですが、組曲の全体としては、明るくて、元気な基調の組曲です。
第1組曲
- 前奏曲
ビゼー:アルルの女の中で、有名な行進曲風の勇ましい1曲です。
プロヴァンス地方の民謡が、引用されています。
途中、暗めの展開も迎えますが、最後に迎える悲劇を予感させる曲調と言えそうです。
そんな様々な展開を見せる曲です。 - メヌエット
ワルツのテンポですが、憂いをおびた雰囲気を持っていて、なんとも感傷的な、舞曲風の1曲です。 - アダージェット
美しいメロディのおだやかな1曲。
登場人物のかつての恋人同士が語り合う場面で流れます。
イメージとしては、あかね色の、きれいな夕焼けというところでしょうか。 - 鐘(カリヨン)
にぎやかでめでたい、祭のイメージですね。
フレデリとヴィヴェッタの婚約を祝う場面で流れる曲です。
第2組曲
- パストラール
ゆったりとして、雄大な牧歌的なイメージの1曲。
途中から舞曲風のノリの良い曲調に展開していき、最後は、再び冒頭のイメージの曲になって、終わっていきます。 - 間奏曲
重厚で、おごそかなイメージ。
その後は、少し曲調が変化して、優雅で、たおやかなものになります。 - メヌエット
ビゼー:アルルの女のなかでも有名なメヌエットです。
しかし、冒頭でも説明したとおり、原曲は、ビゼーの、オペラ《美しいパースの娘》からの抜粋になります。
美しい「フルートとハープの語り合い」によって、なりたった曲で、透明で優美な曲でもあります。 - ファランドール
第1組曲の前奏曲が、再び現われます。
華やかで情熱的なイメージの、ビゼー:アルルの女のラストを飾る曲になります。
【2選の名盤の感想と解説】ビゼー:アルルの女
アンドレ・クリュイタンス:指揮 パリ音楽院管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
したたる汗も、そのままに、「高まる情熱」「みなぎるパワー」が感じられる名盤。
骨太な、音楽づくりは、このビゼー:アルルの女にピッタリ。
牧歌的な、安心感も、つまってます。
このパワーに、手に汗握る躍動感を感じる名盤。
シャルル・デュトワ:指揮 モントリオール交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
クリュイタンスのような情熱的で、粘りのある演奏とは対極にある、美しい語り口の名盤。
冷静と沈着のなかに「アルルの女」を想うフレデリの姿が浮かびます。
悲劇の場面も、切々と謳(うた)い上げてくる優美さが感じられますね。
第1組曲のアダージェットなどは、とくに絶品。
「静かに秘められた情熱」系のビゼー:アルルの女の名盤です。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】ビゼー:アルルの女
さて、ビゼー:アルルの女の、名盤のオススメと、解説はいかがでしたか?
「弾ける感情と情熱」とともに、「優美な感性」が、散りばめられた名曲、ビゼー:アルルの女を聴いて、楽しく元気な心を取り戻したいですね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
関連記事↓
情熱の女、カルメンの物語はコチラ
こんな「純粋な歌」も悪くない…。