澄みきった
その空の青、見上げれば
雄々しく松がそびえ立つ!!
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スカッと明るい気分に導いてくれる「レスピーギ:ローマの松」。
今回はレスピーギ作曲のローマ三部作(ローマの松、ローマの祭り、ローマの噴水)のうちの「ローマの松」に重点をおいて解説していきます。
- 【楽曲を解説】レスピーギ:交響詩「ローマの松」
- 【各曲を解説】レスピーギ:交響詩「ローマの松」
- 【「ローマの噴水」と「ローマの祭り」を解説】
- 【3枚の名盤を解説】レスピーギ:交響詩「ローマの松」
- 【解説と名盤、まとめ】レスピーギ:ローマの松
【楽曲を解説】レスピーギ:交響詩「ローマの松」
ローマで、「松」が象徴するのは「繁栄・不死・力」ということです。
さらに、レスピーギが、交響詩「ローマの松」を作曲した動機についての解説があります。
「ローマの松」は1924年に書きあげられた。
ローマの風景を特徴づける樹木に松がある。
ここではその著名な四種類の松を扱っているが、万古に生きる松というたとえがあるように、松の現実の姿よりも松がみてきたローマの往時(歴史)を幻想的に回想するというのが特徴である。
このため、この曲では古い教会旋法が好んで使われている。
出典:門馬直美 著 「管弦楽・協奏曲名曲名盤100」」p176より引用
冒頭の写真が「ローマの松」ですが、「日本の松」とは、ずいぶんおもむきが違いますよね。
この「ローマの松」の高い位置から、悠久の時の流れを、見下ろしてきた「ローマの松」による、音楽の独白。
「レスピーギ:交響詩『ローマの松』」を解説すると、そんなところでしょうか。
【各曲を解説】レスピーギ:交響詩「ローマの松」
この曲は4曲で成り立っています。
第1部 ボルゲーゼ荘の松
ボルゲーゼ公園で遊ぶ子どもたちの情景を描いた曲です。
もともとボルゲーゼ公園は、17世紀の枢機卿(すうききょう)、シピオーネ・ボルゲーゼが、建設した庭園です。
このボルゲーゼ公園で戦争ごっこをしたり、歌ったり、踊ったりしてあそぶ子どもたち。
高音で歌う楽器たちが、元気な子どもたちの走り回る姿を描写していて、見事です。
とくに管楽器の叫ぶように吹きまくる音の大きさが、子どもたちの、はしゃぐ姿に感じられて、面白いですよね!
第2部 カタコンブ付近の松
古代ローマにおける偉人たちが眠るお墓「カタコンブ」にある「松」を描いています。
堂々としていて、威厳があり、いかにも、ローマの歴史に名を残してきた偉人たちの人物的な大きさを表現した重厚なイメージのある1曲ですね。
第3部 ジャニコロの松
夜…。
煌々(こうこう)と満月に照らされる松。
月の光と、白く神秘的に浮かびあがる「松」の姿を想像します。
演奏の途中、どこからともなく、かすかな鳥の歌が聞こえてきます。
これは鳴き声の美しい、ナイチンゲール(ヨナキウグイス)の鳴き声ですね。
初演当時、鳥の声を録音したテープの音をバックに流して、演奏したそうですが、楽器の音以外の音を、演奏中に鳴らす試みは、歴史上これが初めてだったそうです。
第4部 アッピア街道の松
アッピア街道をゆく古代ローマの軍隊が、進軍ラッパとともに、出撃していく勇壮な姿を見下ろす「松」
そんな姿を連想させます。
このアッピア街道は、ローマから、イタリア南端まで続きます。
その長さ560キロ!!
その道のりを、常勝のローマ軍は、ドドドドド!
地響きを立てて進んでいきます。
その両脇には、ローマの松、松、松!!!
勇壮な姿で、そびえ立っています。
ローマの松は、ローマの歴史の全てを俯瞰してきた生き証人なのですね!
【「ローマの噴水」と「ローマの祭り」を解説】
さて、「レスピーギ:交響詩『ローマの松』」を始めとするレスピーギのローマ三部作。
この「レスピーギ:交響詩『ローマの松』」以外にも、「ローマの噴水」「ローマの祭り」という曲もあります。
これについても、少し触れておきましょう。
ローマの噴水
第1部 夜明けのジュリアの谷の噴水
第2部 朝のトリトンの噴水
第3部 真昼のトレヴィの泉
第4部 黄昏のメディチ荘の噴水
以上、4つの「ローマの噴水」が 描かれていきますが、1日のうちで、それぞれの「ローマの噴水」がまわりの風物と、よく溶け合う時刻を選んで、描いています。
つまり、「夜明け」「朝」「真昼」「黄昏」4つのときです。
とても幻想的で、印象に残ります。
ローマの祭り
第1部 チルチェンセス(古代ローマ時代)
第2部 五十年祭(ロマネスク時代)
第3部 十月祭(ルネサンス時代)
第4部 主顕祭(現代)
以上、4つの「ローマの祭り」について時代に区切って、描いています。
非常に絵画的で、感性に訴えてきますね。
【3枚の名盤を解説】レスピーギ:交響詩「ローマの松」
それでは、名盤の紹介をしていきましょう。
リッカルド・ムーティ:指揮 フィラデルフィア管弦楽団
アルパカおすすめ度★★★★★
なんともさわやかで、キレのいい名盤なことでしょう。
骨太さや、きらびやかさは、あまり感じないものの、とても清潔感のある好感度満点の名盤でもありますね。
イタリア出身のムーティの、胸の内にある望郷の念も、手伝ったのかもしれません。
きらびやかな管弦楽を見せつけるよりは、「感性を大切に育む気持ち」の現れた「語りすぎない」名盤です。
シャルル・デュトワ:指揮 モントリオール交響楽団
アルパカおすすめ度★★★★☆
その絢爛(けんらん)できらびやかな音の響きはデュトワ独特のもの。
パンチが効きながら、決して品性が落ちることのないバランス感覚の素晴らしい名盤です。
ムーティと聴き比べたり、2枚持つことで、その日、その時の気分に合わせて聴くと、楽しみがふくらみますね。
サー・ネヴィル・マリナー:指揮 アカデミー室内管弦楽団
アルパカおすすめ度★★★★☆
「気品あふれる」とか、「そよ風が頬を伝うような気持ちよさ」のある「レスピーギ:交響詩『ローマの松』」。
もちろん「松」以外の「噴水」や「祭り」も心地いい優しさにつつまれている名盤ですね。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】レスピーギ:ローマの松
さて、「レスピーギ:交響詩『ローマの松』」の名盤の紹介と、解説はいかがでしたか?
「日本の松」はどこか風流。
そんな「日本の松」の下で、「レスピーギ:交響詩『ローマの松』」を聴いてもイマイチ雰囲気が合わないなあ。
そんな感想を抱いてしまいますね。
天気のいい日、もっと勇壮な木ノ下で、壮大なローマの歴史を思いながら聴くのがいいみたい…。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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