アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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シェエラザード【千夜一夜物語】【あらすじとおすすめ名盤3枚の解説|感想】「美しき王妃との夢時間!」:R・コルサコフ作曲

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王妃シェエラザード

「語り」の魔法を音楽で!

癒やしの夜は、ふけてゆく…!!


交響組曲「シェエラザード」 Op.35:海とシンドバッドの船

(youtubeをポチって音楽を聴きながら読んでみてくださいね。”iPhoneの場合は全面表示されてしまったら2本指で内側にむけてピンチインしてください。”) 

「アラジンと魔法のランプ」、「シンドバッドの冒険」、「アリババと40人の盗賊」

誰もが知っていて、誰もがワクワクした思い出のある物語!!

これ、実は、あるひとりの勇気ある王妃の語り続けた物語であったってご存知でしたか?

【解説】交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」

サーサーン朝ペルシャの時代(226年〜651年)、シャフリヤール王は、妃(きさき)が奴隷と不倫していることを知ります。

怒りに身を任せたシャフリヤール王は、妻とその奴隷を殺してしまいました。

その後、シャフリヤール王は、深い女性不審におちいってしまいます。

そして、それからというもの、シャフリヤール王は「城下の清き女性と夜をともにしては、殺す」という日々を送るようになります。

そして、毎日のように、女性を連れてくるよう命令を受ける大臣は、日々、頭を悩ましていました。

その姿を見るに見かねた大臣の娘、シェエラザードは、シャフリヤール王の妻となることを決意します。

困惑する大臣は、やめるように説得しますが、娘の「国を護りたい」という固い決意に根負けします。

そして、シェエラザードはシャフリヤール王のもとへと嫁いだのでした。

初めての夜、シェエラザードは、シャフリヤール王と共にしながら、物語を語り始めます。

その内容は、冒頭でも書いた「アラジンと魔法のランプ」とか「シンドバッドの冒険」とか「アリババと40人の盗賊」などを含む数限りない物語の数々でした。 

そして、いざ、「盛り上がり」という段になると、シェエラザードは語りをやめてしまいます。

そして、顔の前に人差し指をたてて、

「しーっ!この物語の続きは、また明日…」。

と言って、眠りに落ちていってしまうのでした…。

話の続きが気になって、気になって、しかたのないシャフリヤール王は、シェエラザードを殺すことができません。

物語としては、アドベンチャー、ミステリー、サスペンス、ラブロマンス、伝記など、広い範囲におよぶ、興味の尽きないさまざまなジャンルです。

そして、毎晩、「いいところ」で終わってしまう「ヤキモキしちゃう物語構成」なのでした。

そんな毎日は続き、千と一夜の長きにわたって物語は語られていきます。

そして、物語を語り終えたころ、シャフリヤール王とシェエラザードの2人は、3人の子宝に恵まれていました。

また、そのころになると、シャフリヤール王はすっかり改心し、シェエラザードを正妻として迎え、王国は平和と安定の時代を迎えたのでした。

解説を紹介

さて、この「交響組曲シェエラザード『千夜一夜物語」』」のこんな解説があります。

この曲は、「アラビアン・ナイト」の持つ雰囲気を音楽としたもので全4楽章からできている。

”近代オーケストレーションの大御所”といわれた彼(R・コルサコフ)の、多彩な管弦楽法の特色がよくあらわれているが、特に全楽章に繰り返しあらわれる、ヴァイオリンの奏でるシェエラザードの美しい主題は、一度耳にしたら忘れられないだろう。

出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」p124より引用

そして、その語られる「壮大な冒険とファンタジー」「巨大な交響詩篇」となって、展開するスペクタクルな音楽!!

それが、R・コルサコフ作曲:「交響組曲シェエラザード」なのです。

各曲を解説】交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」

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それでは、美しきシェエラザード王妃が語るお話しが元になった音楽物語、R・コルサコフ:交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」の各曲について解説したいと思います。

この曲は第1曲から第4曲までの4曲で成り立っています。

第1曲「海のシンドバッドの船」

R・コルサコフ 交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」のはじまりです! 

深くて透明な青をたたえた海、海、海。

そんな壮大な海のうねりの上をゆく、シンドバットの船。

シェラザードの魔法のような「滔々とした、よどみのない語り」によって、

シャフリヤール王の心は、まさしく自分がシンドバッドとなり、冒険の海をゆく冒険者と変身している。

そんな勇壮なテーマを展開しながら、音楽は縦横無尽に、強弱をともないながら進みます。

第2曲「カランダール王子の物語」

「では、昨日の続きを始めますよ、王様。物語の始まり、始まり…。」

いく夜かをシャフリヤール王と過ごしたシェエラザード。

物語に興味津々の、シャフリヤール王です。

「とりあえず、私を殺しそうにないわ」。

それを確認できたシェエラザードの話は、ますますノッてきます。

曲としては、シェエラザードのテーマとも言われる、ヴァイオリンソロで奏でられ、始まる曲です。

物語の展開は、時に勇壮に、また、時に、危機に落ち、時には滑稽に、そして、ロマンティックに語られていきます。

シェエラザードの語りは、面白く、縦横無尽で、自由なひろがりを見せていきます。

第3曲「若い王子と王女」

優しく調和された美しいメロディで始まります。

実際はシェエラザードによって語られる「若い王子と王女」の物語です。

しかし、この「王女」のほうは、バルコニーにたたずむシェエラザード王妃の姿そのものにも感じられます。

前髪は、静かに風にあそばれ、口もとにはおだやかな微笑みが浮かぶ。

そんな姿ですね。

甘いメロディによって運ばれる曲ですが、途中、舞曲風な展開があったりして、楽しくときを過ごす、王子と王女の初々(ういうい)しい姿も心に浮かんできます。

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第4曲「バグダッドの祭り、海、船は青銅の騎士のある岩で難破、終曲」

にぎやかな祭りの風景、楽しくはしゃぐ人びとで、ごった返しますが、一部ではケンカなどもあったりするのでしょうか。

でも、すぐにおさまり、また、もとのにぎやかな祭りに戻ります。

ふたたび、壮大な海の描写が展開されながら、静かにR・コルサコフ 交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」の音楽は、終わっていきます。

まだまだ、この後の波乱万丈の冒険物語があることを想像させながら…。

そして、シェエラザードはささやきます。

「しーっ!この物語の続きは、また明日…」。

【3枚の名盤を解説】交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」

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冒頭から聴き入ってしまう、R・コルサコフ 交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」!

さあ、数ある名盤の中からシェエラザードの語る壮大な物語に、耳をかたむけましょう!!

エルネスト・アンセルメ:指揮 スイスロマンド管弦楽団

生前、R・コルサコフ 交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」を1000回、演奏したという逸話のあるアンセルメ。

千日回峰ではありませんが、ほとんど「悟り」の境地がのぞける、いや、聴き取れるR・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」が好きな方は、随喜の涙が流れちゃうくらいの名盤♫

骨太で構築性十分の音楽の中に、繊細なロマンティシズムが一本、流れ続けている絶品!

録音が古いので、「音重視」の方にはオススメ出来ませんが、一聴の価値アリの1枚です。

キリル・コンドラシン:指揮 ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団

R・コルサコフ 交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」はシェエラザード自身の声、つまり、ヴァイオリンソロがとても重要であると言われています。

そのため、どのアルバムにも、指揮者と演奏団体名とともに、必ずヴァイオリンソロの名が書かれています。

ヴァイオリン協奏曲でもないのに、ヴァイオリンの演奏者が書かれることは、R・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」くらいかもしれません。

そして、ヴァイオリンソロとしての評価が高く、長い間、「名盤」の名で、形容され続けるまさしく、「名盤!!」がコレ。

優美に、風のごとくさわやかなクレバースのヴァイオリンの芳しさは絶品です。

そして、さらに演奏は、世界でも有数のアンサンブルの整然さと美しさで有名なロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団。

そして、指揮を担当するのはキリル・コンドラシン。

当時のソビエトから、亡命して間もないころの演奏であり、少しほろ苦い「望郷の念」もありつつの、メランコリックな繊細さに満ちた美しい演奏です。

シャルル・デュトワ:指揮 モントリオール交響楽団

「壮大な冒険物語が展開するイメージと、シャフリヤール王が身を乗り出して、シェエラザードの話しに聞き入る姿がありありと浮かんでくるようですね!」

「その楽器たちの奏でる音の、なんとも色彩豊かなこと!!」

冒険物語も、ラブロマンスも、サスペンスも、繊細な筆使いの楽器によるグラデーションの見事さに感嘆します。

交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」の持つ、鮮烈な印象を想像させてくれますね。  

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※デゥトワのCD、古いため、実際の商品とはデザインは違います。

今の方がいいなあ〜。

【解説と名盤、まとめ】交響組曲:シェエラザード「千夜一夜物語」

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さて、シェエラザード「千夜一夜物語」、名盤の紹介と、解説はいかがでしたか?

シェエラザードのようなお話上手な人がいたら、楽しいでしょうね。

うらみに駆られた男性を見事、改心させる、その女神のごとき、神々(こうごう)しさ。

このあと、シャフリヤール王の統治する王国は、どんな運命が待ち受けているのでしょう?

気になりますね…。

でも、シェエラザードがいたら、きっと、こう言うことでしょう。

 

「しーっ!この物語の続きは、また明日…」。

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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