スペインに踊れ!!
まぶしいばかりの
彩(いろど)り豊かな管弦楽♫
スペインの
- 熱気
- 気だるさ
- そして、情熱
心、躍らせるラヴェルの名曲♫
今回は、そんなラヴェル:スペイン狂詩曲の解説とおすすめ名盤を紹介です。
【解説】ラヴェル:スペイン狂詩曲
ラヴェル:スペイン狂詩曲のこんな解説があります。
ラヴェルの作品目録などをみると、出版されたオリジナルの演奏会用の管弦楽曲は、この《スペイン狂詩曲》一曲しかない。
管弦楽の扱いの巧妙さと大胆さで一世を風靡したラヴェルとしては、これはいかにも奇妙なように思えるが、じつはラヴェルの他の管弦楽曲は、みな元来はバレエ用だったり、ピアノ曲などからの編曲だったりというわけなのである。
出典:門馬直美 著 「管弦楽・協奏曲名曲名盤100」P158より引用
「管弦楽の魔術師」と言われるラヴェルの、演奏会用に作曲された曲がこの《スペイン狂詩曲》しかないというのは驚きです。
でも確かに、解説にあるようにラヴェルの管弦楽曲は、もとはバレエ用のものであったりピアノ曲の編曲版であったりすることが多いですよね。
また、ラヴェルはフランス人ですが、母親はスペインの国境に近いフランスのバスク地方の出身でした。
そのため母親は、息子である少年ラヴェルに、バスク地方の民謡を歌ったりしながら、スペインの文化を伝えました。
そのためラヴェルはスペインへの興味を持ったようです。
そして、その興味がいずれ「スペインへのあこがれ」として音楽として表現されたのが《スペイン狂詩曲》なわけです。
スペインの、
- 景色
- 空気
- 香り
- 熱気
- 情熱
- 感情
そのようなさまざまな要素がスペイン狂詩曲から感じとることができます。
そして、それらがラヴェルの持つ「管弦楽の魔法にかかった」色彩豊かな楽曲として昇華しているわけですから素晴らしいのです。
さらに、ラヴェルとも親交の深かったスペインの作曲家ファリャが「スペイン人よりスペイン的」という言葉を贈っています。
音楽家としては最高に嬉しいひと言だったのではないでしょうか。
【各曲を解説】ラヴェル:スペイン狂詩曲
それでは、各楽章について解説したいと思います。
ラヴェル:スペイン狂詩曲は、4曲で成り立っています。
第1曲 夜への前奏曲
なんともスペインの熱さによる気だるさのようなものを感じさせるはじまりです。
音形としては、
ファ・ミ・レ・ド#(F・E・D・Cis) …
ファ・ミ・レ・ド#(F・E・D・Cis)…です。
これが繰り返されるわけですが、この主題は、スペイン狂詩曲のところどころにあらわれることによって全体としての主題ををつらぬきます。
さあスペインの香りが満ち満ちた、ラヴェル:スペイン狂詩曲、始まりです♫
第2曲 マラゲーニャ
スペインの南部アンダルシア州、マラガの民族音楽をもとにしています。
低音で刻まれる独特なリズムではじまり、そこからトランペットが歌い始めながら各楽器が盛り上がり、ある瞬間ふと曲が止まります。
そこからコールアングレ(イングリッシュホルン)がソロで歌い始めます。
今までの盛り上がりから転じて、なんとも哀愁をおびた歌となってシンミリとしてきます。
第3曲 ハバネラ
ゆったりとしたテンポを刻みながら
- 気だるく
- 妖(あや)しく
- また、美しい…
ハバネラとはキューバの民俗舞曲です。
ビゼー作曲のカルメンにおける「ハバネラ」も有名な曲ですね。
また、第3曲目のハバネラはラヴェルの他の曲からの転用のため、ファ・ミ・レ・ド#(F・E・D・Cis)… の主題は出てきません。
第4曲 祭り
なんともにぎやかでノリのいい始まりです。
まさしく「祭りで踊り狂うひとびとの熱気」が音符も弾むように踊り狂っています。
さらに、その熱気が「活気」に変わり、さらに「情熱」へと発展していくことによって、激アツな展開をして、ラヴェル:スペイン狂詩曲は終わっていくのです。
【3枚の名盤の感想と解説】ラヴェル:スペイン狂詩曲
アンドレ・クリュイタンス:指揮 パリ音楽院管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
熱気と情熱を、骨太に表現した「シッカリ構築系」の名盤。
大きなスケール感を感じられるところがクリュイタンスの特徴ですし、ラヴェル:スペイン狂詩曲にはピッタリ!!
録音の古さはありますが昔にくらべるとずいぶん聴きやすくはなってはいます。
怒涛のフランス趣味を感じさせるクリュイタンスの演奏するフランス人ラヴェルのスペイン狂詩曲の名盤は一度、聴いておきたいですね。
ピエール・モントゥー:指揮 ロンドン交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
まるで透明なシルクのようななめらかさはモントゥー独特の美感。
そんな名盤です。
優しく丁寧に仕上げた音楽はけっして 「おっかなびっくり」な感じはありません。
どこまでも磨き上げられた美感からは深い自信をもうかがわせます。
はじめの妖(あや)しげな響きからして美しく全体的にゆったりとした音楽運びで耳を心地よくしてくれる名盤でもあります。
シャルル・デュトワ:指揮 モントリオール交響楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
その音に豊かな色彩感をおびつつ展開する名盤です。
デュトワとモントリオール交響楽団の表現する
- 妖(あや)しさ
- 熱気!
- 情熱!!
そんなスペイン情緒が美しい。
踊り狂うような最後の盛り上がりにも、華やかさや美感が満ちている名盤でもあります。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】ラヴェル:スペイン狂詩曲
さて、ラヴェル:スペイン狂詩曲の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
静かに始まり、盛り上がって終わるラヴェル:スペイン狂詩曲です。
そんなドラマティックな展開の1曲。
さあ、「気だるさ」からの、「熱気」や「情熱」への心の橋渡しにも効く(聴く)ラヴェル:スペイン狂詩曲は激アツ系の1曲でオススメなのです。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。