このロマンティシズムは
ラフマニノフの独断場!
こんな感情、誰でも心にひそんでる!
ラフマニノフ自作自演《ピアノ協奏曲第2番》 第2楽章(1929年録音)
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香りほのかで、甘酸っぱい1曲。
深いところでは、「ロシア的な憂い」も漂うラフマニノフの代表的名曲ですね。
- 【楽曲を解説】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
- 【各楽章を解説】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
- 【2枚の名盤、聴き比べの感想と解説】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
- 【名盤解説まとめ】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
【楽曲を解説】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番のロマンティックな理由がわかる、こんな解説があります。
昔、《逢引き》という映画を観た。(中略)
記憶に残っているのは、ラフマニノフの《ピアノ協奏曲第2番》のフィナーレがバックに流れていたことだ。(中略)
映画の中味は忘れても、この気分の方は、なぜか記憶の底に残ってしまった。(中略)
青年時代の私は、ラフマニノフを目のかたきにしていた。
下品な通俗音楽で、ハリウッドのメロドラマから抜け出した印象が強かったからである。
よく考えてみると事態は逆だった。
ハリウッドがラフマニノフを利用したのだ。(中略)
(ラフマニノフ自身の)自作自演盤を4曲とも聴かせてもらったことがあるが、古い録音で響きは悪くても非常にスケールの大きな、無駄な饒舌や、下品な誇張のない清潔な演奏なので、すっかり印象が変わってしまった。
出典:諸井誠 著 「ピアノ名曲名盤100」P200より引用
音楽が印象に残る、映画《逢引き》
アルパカが、20代のころ、テレビで、この《逢引き》なる映画が放映されていて、観た記憶があります。
なんだかピンとこない映画ではありました。
でも、今思うと、この「オトナの事情」満載な映画を、ハタチそこそこで、理解しようとすること自体に無理があったと言えそうですね(汗)
ただ、諸井先生の解説にありましたように、「映画の中味は忘れても、この気分の方は、なぜか記憶の底に残って」しまいました。
どうも、ラフマニノフのピアノ協奏曲はいいもののようだな。
ラフマニノフの音楽にたいして、そんな印象を、初めて持った映画ではありました。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番のエピソード
このラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番には、こんなエピソードがあります。
交響曲第1番が、当時の批評家から、手ひどく批判され 、繊細な体質のラフマニノフは精神的ストレスに押しつぶされ、ノイローゼ(神経症)にかかってしまいます。
何人もの医師が、治療を試みても、改善しないノイローゼ。
そんな中、ラフマニノフの友人が精神科医であるダール博士を紹介します。
ダール博士は、催眠療法と、心理療法をラフマニノフに施します。
このダール博士の治療と、家族の献身的な協力により、3ヶ月後、ラフマニノフは見事に回復します。
その、復帰の直後に作曲された曲が、「ピアノ協奏曲第2番」なのでした。
そして、「ピアノ協奏曲第2番」、初演の際には、演奏後、大喝采を浴びます。
これを観たダール博士は、
「あなたのピアノ協奏曲は・・・」とラフマニノフに話しかけます。
それに対しラフマニノフは応えます。
「いえ、これは、あなたのピアノ協奏曲ですよ。ダール先生。」と…。
そして、この言葉の通り、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番は、このダール博士に献呈されたと言われています。
【各楽章を解説】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
それでは、各楽章について解説したいと思います。
この曲は第1楽章から第3楽章までの3曲で成り立っています。
第1楽章 モデラート(中くらいの速さで)
なんとも、憂いをおびていて、また、情感豊かな曲なことでしょう。
「静かな熱量」とでも言うのでしょうか。
表面的には、色鮮やかな管弦楽と、ピアノのリリシズム(叙情詩的なおもむき)に満たされています
しかし、その内に秘めた情感は、「静か」であり、「熱をおびて」いるのですね。
それが、この、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番の、全体をつらぬく魅力でもある。
そう言っていいと、思います。
第2楽章 アダージョ・ソステヌート(ゆっくりと、音を延ばすように)
ラフマニノフが、精神的な復帰を遂げたあと、まず作曲に着手したのが、この第2楽章でした。
クラシック音楽全体を見渡しても、この優美でありながら、どこかメランコリック(憂うつ)な雰囲気を持つ曲は、なかなか見当たりません。
そして、これは、ラフマニノフが、わずらった神経症の影響があるとの意見があります。
でも、なかなかどうして、すでにそれを超えた、美のきわみのように感じるのは、たぶんアルパカだけではないと思います。
あなたは、どう感じられますか?
第3楽章 アレグロ・スケルツァンド(たわむれるように、速く)
第1楽章と、第2楽章の物語の浮き沈みを通りながら、この第3楽章に来て、一気に明るい基調の曲になります。
冒頭で、書きました、映画《逢引き》のラストでは、とても印象的な使われ方をしています。
そして、解説の諸井先生もアルパカも、映画の内容は、覚えていなくとも(汗)、スッゴイ深い印象として、この第3楽章は記憶に残っているのですよね。
この、劇的なフィナーレは、作曲者のラフマニノフのノイローゼからの、「華麗なる復活」というイメージ。
そんな感想を持てますね。
映画《逢引き》は、U-NEXT:無料トライアルですぐ観れます。
【2枚の名盤、聴き比べの感想と解説】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
スヴァトスラフ・リヒテル:ピアノ スタニスラフ・ヴィスロツキー指揮
ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団
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アルパカのおすすめ度★★★★★
ところが、耳をすまして聴き込むと、ピアノの一音一音のキラメキや、語りかけの中に、光る「ことたま(言霊)」ならぬ「音たま」が、舞いおどっています。
録音は古いのですが、技巧と感性が、ギュッと詰まった宝箱という感想です。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番の不朽の名盤ですし、思う存分楽しめる歴史的な名盤言えますね。
ホルヘ・ボレット:ピアノ シャルル・デュトワ:指揮
モントリオール交響楽団
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アルパカのおすすめ度★★★☆☆
ピアノによる感性の発露に特徴があります。
そして、その感性をひきたて、さらなる輝きを引き出すべく演奏するシャルル・デュトワと、その手兵とも言えるモントリオール交響楽団。
アンサンブルの美しさは、やっぱり素晴らしいものがあるなあとの感想をもちます。
これは、ピアノが主役というよりは、ピアノと管弦楽との調和がもたらした、交響曲的な、魅力があるという感想です。
あまり、情感に流されることなく、すっきりと聴きたい時にいい名盤です。
【名盤解説まとめ】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
さて、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番の、名盤の紹介と、解説はいかがでしたか?
映画でも使われて、美しい旋律も、ちりばめられていて、素晴らしい1曲。
ほんの少し、さみしい時に聴くと、共感してくれていると思える。
そんな感想を持てると、思いますよ。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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