透明な心で、自分を見つめたいときに聴きたい
汚れを知らない無邪気さと…
言葉にならない悲しみと…
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まるで、天使がよりそって、癒やしを与えてくれてるような曲ですね♫
- 【楽曲を解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
- 【各楽章を解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
- 【3枚のおすすめ名盤を解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
- 【解説と名盤、まとめ】モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
【楽曲を解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番、作曲時のこんな解説があります。
彼(モーツァルト)は最後の『ピアノ協奏曲変27番』(の楽譜)に日付とサインを書き込み、12月5日、魂を神に委ねた。
まさに11か月の余命しかなかった。(中略)
彼は無意識にせよ、それを感じていた。(中略)
「彼を急がせなくては!
あらゆるものを投げ打たせて!!一刻も休まず!!」
「少なくとも1年間は健康をあたえなくては!妻子に必要なものを確保させなくては!
……そしてこの世の煩わしさをなくして、彼の歌を書きとめることだけに専心させなくては!」出典:アンリ・ゲオン 著 高橋英郎 訳「モーツァルトとの散歩」p328より引用
なんと引き込まれる解説でしょう。
赤字の部分は、モーツァルトに、「音楽のインスピレーション」をおろす天使の言葉をアンリ・ゲオンがその筆にのせて書いたものですね。
「病にむしばまれゆく体」、それにともなう「死の予感」。
そして、時たまモーツァルトを訪れてくる、「謎のマスクに黒服の男」。
モーツァルトはこの男にたいして、「死の宣告に来た者」という認識を持っていました。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番を作曲のころのモーツァルトは、あきらかに、「死」を感じ取っていたのです。
それなのに…この「モーツァルト最後のピアノ協奏曲第27番」のなんと、優しい光に満ちた、天国的な響きなことでしょう。
【各楽章を解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
それでは、各楽章について解説していきましょう。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番は、第1楽章から第3楽章までの3曲で成り立っています。
第1楽章 アレグロ(速く)
心に、わだかまりは無く、ただ無心に「ミューズ(音楽の神)」の声を楽譜に書きとめてゆく。
ただ無心に…。
心の深いところに「死の予感」があるはずの、この頃のモーツァルト。
それなのに、この澄み切った透明な響きとメロディを書きとめられるのは、なぜなのでしょう。
メランコリック(感傷)を、見せることは、まるでなく、音楽は進みます。
これは、第2楽章と、第3楽章にも言えることですね。
もうすでに、天国にいるかのような、澄みきった心の表れのようにも感じられますね。
第2楽章 ラルゲット(表情ゆたかにゆったりと、やや速く)
第1楽章で見られた、透明感は続きますが、曲のテンポは、ゆったりしたものとなります。
ゆったりしているがゆえに、その響きに、調和の要素が深く染み込んできます。
第3楽章 アレグロ(速く)
少しだけ、アップテンポになりながら、「モーツァルトの魂の歌」は続きます。
フワッと軽く、音楽のルクス(照度)をあげながら、「軽快で、楽しくありながら、ほんのちょっぴり、うつむきかげん」そんなイメージの1曲というところでしょうか。
【3枚のおすすめ名盤を解説】モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
それでは、澄み切った透明感のある、モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番 の名盤を解説していきましょう。
イングリッド・ヘブラー:ピアノ
アルチェオ・ガリエラ:指揮 ロンドン交響楽団
アルパカおすすめ度★★★★☆
「モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番」全体に流れる清く澄んだ響き。
この特徴をどこまでも突き詰めた…いいえ、すでにイングリッド・ヘブラーというピアニストの魂が、清く澄んだモーツァルト晩年の心と、すでに通じていたような感覚に打たれます。
そして、「清澄の極みの第2楽章」で、それは頂点を極めますね。
そんな名盤です。
インスピレーション(霊感)の泉が湧き出るがごとき、名盤
その響きに、心をあわせて、日々の喧騒から開放されたいですね…。
アルフレッド・ブレンデル:ピアノ
サー・ネヴィル・マリナー:指揮 アカデミー室内管弦楽団
アルパカおすすめ度★★★★☆
知性の光、キラリ!
いついかなる時にも、その音から、クリスタルのような輝きを発します。
モーツァルトには少し、光が強すぎる感が、無くはないですが、感性に流された甘口なモーツァルトから、少し距離をおきたい時に効く(聴く)名盤ですね。
指揮者のネヴィル・マリナーも奥ゆかしく、ブレンデルの知性をサポートしています。
長く名盤の名をもって形容されてきたアルバムですね。
ロベール・カザドシュ:ピアノ
ジョージ・セル:指揮 クリーヴランド管弦楽団
アルパカおすすめ度★★★★☆
どこか突き放したような、枯れた味わいの中に、無心のモーツァルトが聴き取れる名盤です。
聴きようによっては、無愛想に感じますが、その飾り気のなさは「モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番」の本質、つまり「無心」をあますところ無く表現しています。
指揮者のセルの、理性を含ませたそのサポートも、カザドシュのピアノにピッタリですね。
そんな、まれに見る名盤です。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
さて、「モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番」の名盤の紹介と、解説はいかがでしたか?
どんなに性格が明るく、友達の多い人でも、ある瞬間、ふと、さみしさや孤独の思いに支配されることがあるものです。
そんな時は、人と会って楽しい時を過ごすことが、万能の薬となることでしょう。
でも、不思議と、人と会うと、もっとさみしくなる瞬間もあるものです。
そんなときは、公園のベンチに腰をおろし、無邪気に、はしゃぐ子どもたちを眺めてみませんか。
そして、イヤフォンの音を、少しだけしぼって、モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番を聴くというのも、心の薬となることがあるものです。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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