優しい風が
ほほ、なでる…
歌うフルートかぐわしく♫
モーツァルトのフルート嫌い…。
フルート協奏曲第2番とは、世を忍ぶ仮の姿…?
名曲誕生までに渦巻くエピソード!
さて、今回は、モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》の解説とおすすめ名盤を紹介です。
- 【解説】モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》
- 【各楽章を解説】モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》
- 【名盤3選の感想と解説】モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》
- 【まとめ】モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》
【解説】モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》
モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》についてのこんな解説があります。
モーツァルトは、フルートを独奏楽器とする協奏曲を2曲書いた。(中略)実は
モーツァルト自身は、フルートという楽器に少しの愛着ももっていなかったのである。(中略)当時、フルートは楽器としては未完成なところがあり、音程が不安定で、人一倍鋭い耳をもっていたモーツァルトにとっては、そうした(※)フルートの出す音はガマンのならない、 非音楽的な音に思われたからである。だが、 フルートが性能的にまだ不備だった時代に、この楽器の魅力をぞんぶんに発揮させた名曲をつくったモーツァルトは、やはり天才中の天才であった。出典:志鳥栄八郎 著 「新版 不滅の名曲はこのCDで」P185より引用
1777年の秋からモーツァルトはマンハイムに滞在しました。
そこで、オランダ東インド会社に勤務する裕福な医師でありフルートを愛好するフェルディナント・ド・ジャンを紹介されます。
このド・ジャンはモーツァルトにフルート協奏曲を3曲と四重奏曲を何曲かを作曲するよう依頼してきます。
報酬としては200フローリンという契約でした。しかし、結果として96フローリンしか支払われませんでした。
それもそのはずです。モーツァルトは《フルート協奏曲》を2曲と、《フルート四重奏曲》3曲しか作曲できなかったのですから…。
しかも2曲のフルート協奏曲のうち、第2番は元々は《オーボエ協奏曲》であった曲を一部書き換えつつ、ハ長調からニ長調ヘと移した言わば「ほぼ丸写し」でした。
モーツァルトはド・ジャンに抗議しますがもちろん聞き入れられることはありませんでした。
ただ、現在では《オーボエ協奏曲》を元にして作曲された《フルート協奏曲第2番》の方が演奏機会が多いことを考えますと皮肉な結果と言えるかもしれません。
(※フルート嫌いと言っていたのはド・ジャンの注文に応えられなかったことに対する言い訳であって、本来モーツァルトはフルートを嫌いではなかったという説もあります。)
編成:
フルート独奏
オーボエ2(フルート2)、ホルン2
第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、
ヴィオラ、低弦(チェロ、コントラバス)
【各楽章を解説】モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》
フルート協奏曲第1番
第1楽章 アレグロ・マエストーソ
はじまりから歌い出す第1主題が気持ちいい。
「これぞモーツァルトの持つ爽快感」というイメージです。
フルートという楽器を好ましく思えなかったモーツァルトが「なんとも好ステキな旋律を作曲してしまうところ」は奇跡的。
いつまでもこの旋律の流れの中で遊び続けたい、そんな名曲です。
第2楽章 アダージョ・ノン・トロッポ
ゆったりあたたか午後の時、夢を見るよに過ぎていく。
ふわっとさわるは風のこと。
お日さま、においを運びつつ、午後のひととき夢の中…。
第3楽章 ロンド:テンポ・ディ・メヌエット
流れ流れて小川の水は、ひんやり冷たく気持ちいい。
明るくさわやか、フルート歌う。
落ち込んだりはするけれど…やっぱりフルート朗らかに、そして高らかモーツァルト
フルート協奏曲第2番
第1楽章 アレグロ・アペルト(速く、明朗に)
うつくし旋律、愛らしく…。
トキメク気持ちはワクワクと…。
胸打つ
オーボエが優しく歌い、かと思うと憂いを帯びる。
これを繰り返しながら歌を重ねていく曲です。
ドキドキ、音がする…。
なんとも朗らか協奏曲…。
第2楽章 アンダンテ・マ・ノン・トロッポ(ゆっくりと、しかし遅すぎないように)
フルートが優しく歌い、かと思うと憂いを帯びる。
これを繰り返しながら歌を重ねていく曲です。
第3楽章 ロンド:アレグレット(やや速く)
弾むリズムは軽やかに、テンポは嬉しそ、進んでく。
はしゃぐ気持ちは続いてく、それに応える楽器たち。
歌うフルートいつまでも…。
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【名盤3選の感想と解説】モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》
カール・ハインツ・ツェラー:フルート
ベルンハルト・クレー:指揮
イギリス室内管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
気品あふれるツェラーのフルートが、この上もなく美しくてうっとりしてしまう名盤です。
なごやかに、たおやかに、そして時には淋しげに…。
豊かに表情を変えて歌うツェラーのフルートは絶品です。
クレーの指揮するイギリス室内管弦楽団の「麗しくも奥ゆかしい演奏」も素晴らしく、なんとも贅沢な名盤です。
エマニュエル・パユ:フルート(フラウト・トラヴェルソ)
クラウディオ・アバド:指揮
ラ・プティット・バンド管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
のびやかで若々しい感性が弾けている名盤です。
色彩豊かなさわやかな音色と光るインスピレーションに導かれたニュアンスが美しく彫琢された技巧から放たれます。
アバドとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団という最高のサポートを得て実現したモーツァルト《フルート協奏曲》の流麗な名盤です。
バルトルド・クイケン:フルート(フラウト・トラヴェルソ)
ジギスバルト・クイケン:指揮
ラ・プティット・バンド管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
枯れた味わいのあるフルート協奏曲は新鮮です。
フラウト・トラヴェルソという言わば木製のフルートを使っているためか木の持つ独特な温かみが感じられる名盤です。
古楽演奏の割には弦楽器の伸びもよくて美しいです。
そのためモーツァルト《フルート協奏曲》の流麗さを失っていません。
ほどよく古風な味わいを残した絶妙な名盤です。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【まとめ】モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》
さて、モーツァルト《フルート協奏曲第1番|第2番》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
優しい風が
ほほ、なでる…
歌うフルートかぐわしく♫
気が乗らなくたって美しい曲を作っちゃうモーツァルトの名曲《フルート協奏曲》でした。
モーツァルトが現在のフルートの音を聴いたら、また違った雰囲気の曲を作曲したのかな?
少し妄想してしまう…。
現在の《フルート協奏曲》でも、じゅうぶん活き活きとした美しい曲ですけどね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。