ふわり…
春のおとずれ
コンチェルト♫
「歴史に埋もれて見つからない!」
さて、今回は、モーツァルト《オーボエ協奏曲》の解説とおすすめ名盤を紹介です。
【解説】モーツァルト《オーボエ協奏曲》
モーツァルト《オーボエ協奏曲》についてのこんな解説があります。
モーツァルトがオーボエ協奏曲を書いたらしいということは、すでに19世紀から20世紀にかけてのモーツァルト研究家の間で確認されていた。しかし、その楽譜が発見されなかったのだ。(中略)写稿は、1920年にモーツァルトの息子の遺品のなかから発見されたのだが、この曲が実は現在のフルート協奏曲の第2番(ニ長調)と調性が違うだけで、ほとんど同一だったのである。
出典:門馬直美 著 「管弦楽・協奏曲名曲名盤100」P32より引用
モーツァルトは生涯を通して、父レオポルトと多くの書簡を交わしていますが、そこから推察するに《オーボエ協奏曲》を作曲したことは確実でした。
ただ長い間《オーボエ協奏曲》の楽譜が見つからずにいたのです。
解説にありますが、結果的には《フルート協奏曲第2番》として遺っていた曲の原型が実は《オーボエ協奏曲》であったということでした。
《オーボエ協奏曲》は、1777年にザルツブルクの宮廷管弦楽団のオーボエ奏者フェルレンデスのために書いた曲です。
総譜はモーツァルトの父のレオポルトが持っていましたが紛失してしまったようです。
1777年の秋からモーツァルトは《オーボエ協奏曲》のパート譜を持ってマンハイムに滞在しました。
この際に、当地のオーボエの名手フリートリヒ・ラムが好んで演奏し、当地の評判も上々でした。
このことからオーボエ協奏曲をハ長調からニ長調に移し、細部も書き換えつつ《フルート協奏曲第2番》として作曲します。
これには理由があります。それが裕福な医師でありフルートを愛好するフェルディナント・ド・ジャンとの出会いです。
このド・ジャンはモーツァルトにフルート協奏曲を3曲と四重奏曲を何曲かを作曲するよう依頼してきます。
お金の欲しいモーツァルトは依頼を受けます。結果としては《フルート協奏曲》2曲と《フルート四重奏曲》3曲しか作曲できなかったことから約束の報酬を削られます。
しかも、そのうちの1曲《フルート協奏曲第2番》の方は、前述した通り《オーボエ協奏曲》からのほぼ丸写しなわけですから当然といえば当然の結果と言えます。
実のところ、当時のモーツァルトはフルートという楽器を気に入ってなかったということがありました。
「音程が不安定であり、音色も今ひとつ映えない」という理由から作曲に乗り気ではなかったということもあったようです。
ただ現在、結果的には元々《オーボエ協奏曲》として作曲された《フルート協奏曲第2番》の方が演奏機会の多いことは皮肉な結果と言えるかもしれません。
編成:
オーボエ独奏
オーボエ2、ホルン2(ファゴット)
第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン
ヴィオラ、低弦(チェロ、コントラバス)
【各楽章を解説】モーツァルト《オーボエ協奏曲》
第1楽章 アレグロ・アペルト(速く、明朗に)
うつくし旋律、愛らしく…。
トキメク気持ちはワクワクと…。
胸打つドキドキ、音がする…。
なんとも朗らか協奏曲…。
第2楽章 アダージョ・ノン・トロッポ (ゆっくりと、しかし遅すぎないように)
オーボエが優しく歌い、かと思うと憂いを帯びる。
これを繰り返しながら歌を重ねていく曲です。
第3楽章 ロンド:アレグレット(やや速く)
弾むリズムは軽やかに、テンポは嬉しそ、進んでく。
はしゃぐ気持ちは続いてく、それに応える楽器たち。
歌うオーボエいつまでも…。
【名盤3選の感想と解説】モーツァルト《オーボエ協奏曲》
ハインツ・ホリガー:オーボエ
ケネス・シリトー:指揮
アカデミー室内管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
明るい歌声と深い憂いが同居するオーボエの響きが絶妙な名盤です。
オーボエのホリガーの技巧は言うまでもなく素晴らしいのですが、ホリガーをサポートするアカデミー室内管弦楽団もモーツァルトを歌うと美しい。
「心からモーツァルトを楽しんでいる」様子が聴こえてくる私たちの耳に嬉しい名盤です。
ランドル・ヴォルフガング:オーボエ
オルフェウス室内管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
オーボエが主役というよりは、楽団と歌をともにすることを重視している印象の名盤です。
「指揮者のいない楽団」というオルフェウス室内管弦楽団の特徴が存分に発揮された感があります。
室内楽的な楽しみとモーツァルトの音楽の持つ本来の純粋さな響きが聴けます。
音楽する喜びが音とともに伝わってくる名盤です。
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【まとめ】モーツァルト《オーボエ協奏曲》
モーツァルト《オーボエ協奏曲》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
ふわり…
春のおとずれ
コンチェルト♫
ある意味モーツァルトの曲の中でも、もっともモーツァルトらしい可愛らしさでいっぱいの名曲。
さあさ聴こうよ、ふんわりオーボエ、やわらか協奏曲を…。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。