女ったらしのダメ男
なのにモテる?ドン・ジョヴァンニの
悲劇と喜劇の要素入り乱れる名作オペラ!
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ドン・ジョヴァンニの
- 自由奔放な毎日と
- 地獄への転落!
「悲喜こもごもな展開」の、ドン・ジョヴァンニ。
そんな物語とモーツァルトの音楽が溶け合った素晴らしいオペラの名作、モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ。
モーツァルトの3大オペラのひとつでもある、ドン・ジョヴァンニの解説と名盤を紹介です。
- 【解説】モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
- 【あらすじと感想、解説】モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
- 【名盤2選】モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
- 【解説と名盤、まとめ】モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
【解説】モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ、作曲時のエピソードを含む、こんな解説があります。
モーツァルトは、台本ができあがるはしから曲をつけていったが、最後の仕上げはプラハで行った。
だが、有名な序曲だけは初演の前日になってもできあがらず、その晩わずか四時間ほどで書きあげられたというエピソードが伝わっている。
また、主役のドン・ジョヴァンニ以下、低声の男性歌手が重要な役を占めているという点も大きな特色である。
出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」P381より引用
「罪と罰」、そんな要素も感じられるモーツァルト:ドン・ジョヴァンニの重厚さは解説にもあるように低声の男性歌手がその効果をあげています。
また、コミカルな場面がところどころに散りばめられていて女声の歌も、とても魅力的な歌が展開します。
モーツァルト:ドン・ジョヴァンニは基本的には「喜劇」という位置づけがされています。
でも、ドン・ジョヴァンニが最後に地獄に落ちるという展開自体はむしろ「悲劇」と言えそうです。
【あらすじと感想、解説】モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
それでは、さまざまな要素が詰まっているモーツァルト:ドン・ジョヴァンニのあらすじを解説します
登場人物は以下の通りです。
登場人物
-
ドン・ジョヴァンニ(バリトン)
女好きでありながら、めっぽう強い騎士でもある、下僕のレポレッロを使って悪事をたくらむ知恵者。 -
レポレッロ(バス)
お人好しで気が弱く、いつも主人のドン・ジョヴァンニにいいように使われる不運な男。 -
アンナ(ソプラノ)
騎士長の娘、オッターヴィオの婚約者、父親の仇(かたき)ドン・ジョヴァンニを憎んでいる。 -
騎士長(バス)
アンナの父であり、娘を襲おうとするドン・ジョヴァンニに決闘を挑むが殺される。 -
オッターヴィオ(テノール)
アンナの婚約者、アンナとともにドン・ジョヴァンニへの復讐に燃える。 -
エルヴィーラ(ソプラノ)
過去、ドン・ジョヴァンニに口説かれ、求愛を受け入れたが捨てられた。
しかし、いまだに心のどこかでドン・ジョヴァンニに好意を寄せる。 -
ツェルリーナ(ソプラノ)
マゼットの妻、結婚式の当日にドン・ジョヴァンニに誘惑されて心が揺れるところのあるコケティッシュな魅力のある女性。 -
マゼット(バス)
ツェルリーナの夫、ドン・ジョヴァンニに誘惑されるツェルリーナを見てヤキモキするが、やっぱりツェルリーナが好きなデレデレ男子。
モーツァルト:ドン・ジョヴァンニは、全2幕で成り立っています。
第1幕 やっちまった「騎士長殺し」
ある夜、女たらしのドン・ジョヴァンニは騎士長の邸宅に忍び込んでいました。
目的は騎士長の娘、ドンナ・アンナ。
外では召使いのレポレッロが見張り番で立っています。
「こんな主人に仕えるなんて嫌気がさすわ…」そんなぼやきとともに…。
ドン・ジョヴァンニはアンナの部屋に忍び込みますが、それに気づいたアンナは叫び声をあげます。
それに気づいたアンナの父である騎士長は剣を持ってドン・ジョヴァンニに挑みます。
格闘の末、ドン・ジョヴァンニは騎士長を倒し、邸宅を逃げ出します。
泣き崩れるアンナを見たアンナの婚約者オッターヴィオもやってきてドン・ジョヴァンニに対して復習を誓うのでした。
レポレッロとともに逃亡する途中、ドン・ジョヴァンニが過去捨てた女、エルヴィーラにバッタリ出会います。
ドン・ジョヴァンニは、この場をレポレッロに任せて逃げ出します。
そこでレポレッロは、エルヴィーラを慰めるべく、とっさに「カタログの歌」を歌い出します。
この歌は過去ドン・ジョヴァンニが関わった女性たちのことが書かれたいわば「カタログ」のことを歌ったものです。
けれども、エルヴィーラは怒りを持っていながらも、心のどこかで、まだドン・ジョヴァンニを慕っているのでした。
ある村でのこと。
村娘ツェルリーナと結婚相手のマゼットが今夜の結婚式に備えるべく農民たちとやってきます。
そこに居合わせたドン・ジョヴァンニはツェルリーナに目をつけます。
うまく誘い出して巧妙に口説き始めるドン・ジョヴァンニ。
しかし、間一髪でエルヴィーラがやってきて、ドン・ジョヴァンニからツェルリーナを救います。
そこで、ひとりたたずむドン・ジョヴァンニのところに、なんと騎士長である父を殺されたアンナと、婚約者のオッターヴィオがやってきます。
そして、騎士長を殺したヤツへの仇討ちに手を貸してほしいと、援助をもとめるのでした。
それに対して、ドン・ジョヴァンニは「私も騎士です、力になります」などと返します。
そして、アンナは、そのドン・ジョヴァンニの声を聞いた瞬間、「父を殺したのはドン・ジョヴァンニである」と気づくのでした。
ドン・ジョヴァンニの自宅の庭、農民たちは宴を楽しみ、盛り上がっています。
しかし新郎のマゼットはツェルリーナに対しておもしろくない感情を持っています。
ツェルリーナは、なんとかマゼットの機嫌を直してもらおうと、愛嬌を振る舞ったりもしています。
その後、再びドン・ジョヴァンニがやってきて、ツェルリーナを部屋へ誘おうと動き出しますが、ツェルリーナは叫び、助けを求めます。
そこでドン・ジョヴァンニはとっさに罪をレポレッロになすりつけて逃げ出します。
第2幕 「悔改めよ!」騎士長の亡霊がせまる!!
モーツァルト: 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」:お前と一緒に晩餐に招かれたので参った[地獄落ち]
罪を着せられて今回こそはガマンの限界がきたレポレッロは、ドン・ジョバンニに反抗します!
そのレポレッロはドン・ジョバンニに大量の金貨を見せられて「俺は何よりも女なのだ、女が必要なのだ」とのドン・ジョバンニの説得に根負けします。
そして、凝りもせず今夜の獲物を目指すドン・ジョバンニの次の相手は、エルヴィーラの女中です。
ドン・ジョバンニとレポレッロは着ている服を交換し、お互いが相手になりすまします。
そして、ドン・ジョバンニの姿に扮したレポレッロはエルヴィーラの窓辺の下に立ちます。
そして、そこから離れたところでドン・ジョヴァンニは、いかにも悔い改めたような申し訳なさそうな反省の言葉をかけます。
それに喜んだエルヴィーラはドン・ジョヴァンニに扮したレポレッロに近寄りそのまま邸宅を出ます。
それを確認したドン・ジョヴァンニはエルヴィーラの女中にむけてセレナード(愛の歌)を歌います。
しかし、そこにマゼットをはじめ農民たちが、剣やナタやら棍棒などを持ってやってきます。
「ドン・ジョヴァンニを殺す!!」
それを聞いたレポレッロに扮したドン・ジョヴァンニは
「このレポレッロ様がドン・ジョヴァンニのあだ討ちの指揮をとろう!」と叫びます。
そして、マゼットが油断したすきにマゼットを殴り倒して逃亡します。
そのころ、レポレッロをドン・ジョヴァンニだと勘違いしているエルヴィーラはレポレッロと抱き合っています。
そこにアンナとオッターヴィオ、そしてツェルリーナとともに、気を取り戻したマゼットがやってきます。
4人はまさしく「ここで会ったが百年目」とばかりにドン・ジョヴァンニに殴りかかろうとします。
さすがに命を取られるのはカンベンとばかりに(ドン・ジョヴァンニに扮した)レポレッロは正体を明かし、事情を説明します。
そしてそそくさと逃げ出すレポレッロでした。
居合わせた全員はあきれるばかり…。
ここでオッターヴィオは宣言します。
つまり、
「騎士長殺しの犯人はドン・ジョヴァンニである!当局に告発する!!」
時は真夜中、騎士長の墓場にある、騎士長の姿を模した石像の前で落ち合うドン・ジョヴァンニと、レポレッロです。
そして、命の危機がせまる状況だというに、ドン・ジョヴァンニは冗談っぽく、またまた女の話で大笑いしながら盛り上がります。
その時、騎士長の石像が低い声で、語りだします。
「その笑いも今夜限りだそ!」
一瞬、ひるむドン・ジョヴァンニでしたが、気を取り直します。
そして、ドン・ジョヴァンニは、こともあろうに、その騎士長の石像を自宅の晩餐(ばんさん)に招くのでした。
夜、ドン・ジョヴァンニはレポレッロに料理をさせ、また、音楽を演奏させて準備を整えます。
そこにいまだにドン・ジョヴァンニに想いを寄せるエルヴィーラがやってきて、今までの行いを悔い改めるよう説得をこころみます。
ドン・ジョヴァンニはその説得に応じるわけもなく、エルヴィーラを追い出します。
その時、外から、エルヴィーラの叫び声が聞こえてきます。
その方向からやってきたのは、騎士長の亡霊である石像でした。
そして、石像もドン・ジョヴァンニに対して、
「悔改めよ!」と、迫ります。
しかし、ドン・ジョヴァンニは、そんな騎士長の亡霊の言うことを聞き入れずに居直っていると、地面から地獄の業火ともいえる巨大な炎が燃え上がります。
そして、そのままドン・ジョヴァンニはその業火に引きずり込まれるように地獄へと落ちていくのでした。
【名盤2選】モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
ヨーゼフ・クリップス:指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団&ウィーン国立歌劇場合唱団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
優雅なウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の響きは、モーツァルトにはピッタリという感想の名盤です。
「理想的なドン・ジョヴァンニ」といわれたチェーザレ・シエピの歌唱はもちろん、脇を固める女性陣のおっとりとした可愛らしさも絶品の名盤でもありますね。
そんな美しさの中にもドン・ジョヴァンニ、本来の悲劇性があらわれる最後はそのコントラストゆえに圧巻です。
そんなドラマティックな名盤として、一度は聴いておきたいですね。
サー・ネヴィル・マリナー:指揮
アカデミー室内管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★☆
マリナーの《ドン・ジョヴァンニ》の清楚な響きは合わないという意見もあることでしょう。
でも、この《ドン・ジョバンニ》の「悲劇」から、その要素をできるだけ外した名盤もいいものです。
そもそも、モーツァルト:ドン・ジョヴァンニは奔放な性格のドン・ジョヴァンニからして、「喜劇」ととらえられることもあるのですから…。
音楽の軽みと、そこからかもし出される優しさがマリナーらしくて好感が持てる名盤ですね。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ
さて、モーツァルト:ドン・ジョヴァンニの、あらすじと名盤の紹介、解説はいかがでしたか?
喜劇と悲劇が入り組んで展開する「悲喜こもごもオペラ」《ドン・ジョヴァンニ》。
これが、モーツァルトの音楽に乗って物語が進むと、なんとも気持ちのいい爽快さが高まっちゃう感もあって、心地いいのですよね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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