アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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ハイドン:天地創造【壮大な3枚の名盤と解説|感想】バリバリと聴こえる原初の地球の創造の音を聴こう♫

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荘厳!

雄大!

なのに楽しいオラトリオ♫

  • 大地!
  • 海!
  • 大空!
  • 動物!
  • 植物!
  • そして、人間!!

原初における神の創造への思いが音楽で迫りくる!!

 

さて、今回は、そんなスケールの大きいハイドン《天地創造》の解説とおすすめ名盤を紹介です。 

【解説】ハイドン:天地創造

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ハイドン《天地創造》を解説した、こんな解説があります。  

ロンドンで、彼(ハイドン)は、大先輩ヘンデルのオラトリオを聴いてたいへんな感銘を受け、自分もオラトリオを作曲してみようと心に決めて帰国したのであった。(中略)

神によって天地が創造されるようすや、楽園におけるアダムとイヴの姿が描かれている。

曲は、けっして堅苦しいものではなく、いかにも楽天家だったハイドンの明朗な気分がよくあらわれたものとなっており、(中略)ハイドンでなくては書けない、楽しい作品だ。

出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」P340より引用

まさしくハイドンの楽しい音楽性が詰まった晩年の名曲が《天地創造》ですね。

 

ハイドン58歳の時、楽長を務めるエステルハージ家のニコラウス侯爵が亡くなります。

そして、その後を継いだ侯爵が音楽にはまったく興味をしめしませんでした。

同じころ、宮廷楽団を解雇されたハイドンはイギリスで活躍していた興行師ハンス・ペーター・ザロモンの招きを受けてイギリスに渡ります

そのイギリスで、ハイドン自身が作曲した交響曲を演奏して大成功をおさめます。

そして解説にありますように、ハイドンはそのイギリスでヘンデルのオラトリオを聴いていたく感銘を受けます。

曲目は「メサイア」や「エジプトのイスラエル人」だったと言われています。

そんな刺激を受けたことと、宮廷楽団を解雇されて時間的余裕もあったことからハイドンもオラトリオの作曲を開始したのでした。

その元となった文献がイギリスから持ち帰った2冊でした。

それが、

  • 台本用の旧約聖書「創世記」
  • ミルトンが著した「失楽園」

でした。

 

そして、ウィーンに戻ったハイドンは、この英語の文献の翻訳を宮廷図書館長のスヴィーテン男爵に依頼します。

そのような経緯を経て、ドイツ語に翻訳された旧約聖書の「創世記」とミルトンが著した「失楽園」はハイドンの手によって見事なオラトリオとして誕生したのでした。

ハイドン《天地創造》はざっくり言うと大きく2つに分けられます

つまり、

  • 神の「天地創造」の6日間の物語、
  • その後の「アダムとイヴ」の物語

という構成です。

 

【各部を解説】ハイドン:天地創造

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それでは、各曲について解説したいと思います。

ハイドン《天地創造》は正式な分け方で言いますと3部構成になっています。

つまり、

  • 第1部は、天地創造における【1日目〜4日目】
  • 第2部は、天地創造における【5日目と6日目】
  • そして、第3部が「アダムとイヴの物語

という構成です。

それでは詳しく見ていきましょう。

 

第1部:1日目

1曲目《ラファエル》レチタティーヴォと合唱

ダアアアン♫

 

…雷鳴のような強い衝撃がティンパニなどで表現され、ハイドン《天地創造》の序奏が始ります。

すると弦楽器が静かに鳴り始めます。

これは「天地がいまだカオスの状態である」ということを表現してるわけです。

  • 地は形が定まらず
  • 水面には神秘の力が及ぶ

そんな風景です。

 

これから始まる壮大な《天地創造》の物語を象徴するがごとくの重厚な始りの曲です。

すると、

 

 「はじめに神が天地を創造(つくり)たまえり…」

  

とラファエルの声が聴こえ始めます。

しばらく歌われていくとそこに、かすかな合唱に交代して、静かに荘厳に

歌が響きます

そして、深まる瞑想のような神秘性をともない始めます。

そして、そのまま消え入るかと思いきや…ふたたび

 

ダアアアン♫

 

という、

 

楽器たちの大合奏とともに歌手陣による大合唱が鳴り響きます!

 

壮大で荘厳なオラトリオ、ハイドン《天地創造》始まりのファンファーレに聴こえます!! 

2曲目《ウリエル》合唱付きアリア

そして神は光を善しと見て、光と闇と分けます。

つまり、光を昼と名付け、闇(やみ)を夜と名付けます。 

第1部:2日目

3曲目《ラファエル》レチタティーヴォ

神が空を創りながら「空にある水と、地にある水」とに分けられていきます。

それは、空にある「雲」と地にある「海や川」などの水を分けたということですね。

 

そして、その際に起こる

  • 嵐、すさまじく
  • 雲は、はちぎれんばかりに乱れ飛ぶ
  • そしてカミナリが天地を切り裂き落ちてくる

そんな様が描かれます。 

4曲目《ガブリエル》合唱付きソプラノ独唱

ガブリエルをメインにして全員での合唱になります。

神のなした2日目の仕事を讃(たた)える勇壮な1曲です。

第1部:3日目(5曲目〜10曲目)

5曲目《ラファエル》レチタティーヴォ

神が地にある海と陸とを分けられたことをラファエルが告げます。 

6曲目《ラファエル》アリア

まずは海の荒れ狂う様が歌われます。

そして、山は天にも届くような威厳を持って存在し、丘や岩が出現し、 平野は無限な広がりを見せていく。

そして小川はせせらぎ谷間をも流れゆく…

7曲目《ガブリエル》レチタティーヴォ

草と果実を実らせる木を、地に生み出そうとして種は地に落ちてくる。 

8曲目《ガブリエル》アリア

 新緑は広がり

  • 花は地を彩り
  • 草はさわやかな香りを運ぶ
  • さらに傷を癒やす薬草も顔を出してくる
9曲目《ウリエル》レチタティーヴォ

 ウリエルが神の3日目の偉業を告げ知らせ、讃えます。 

10曲目《合唱》合唱

合唱が 3日目の神の偉業を讃えます。 

第1部:4日目(11曲目〜13曲目)

11曲目《ウリエル》レチタティーヴォ

神による天体の創造とともに星をも作られたことをウリエルが告げます。

12曲目《ウリエル》伴奏付きレチタティーヴォ

大陽が昇る姿と、月が静かなる夜を彩るさまが歌われます。 

13曲目《三重奏つきの合唱》(み空は語る神の栄誉)

ハイドン《天地創造》の中では、もっとも有名な合唱です。

題名としては、

  • 「もろもろの天は神の栄光をあらわし」とか
  • 「み空は語る神の栄誉」

などと訳されることが多いです。

 

【もろもろの天は神の栄光をあらわし】:歌詞

<合唱>
天は 神の栄光を語り
大空は その御手のわざを示す。
<ガブリエル、ウリエル、ラファエル>
この奇跡を 日は日に告げ
夜は 次の夜にと語り継ぐ。
<合唱>
天は 神の栄光を語り
大空は その御手のわざを示す。
<ガブリエル、ウリエル、ラファエル>
知らせは 全世界に響き渡り
あらゆる耳が聞き 口々に語り伝える。
<合唱>
天は 神の栄光を語り
大空は その御手のわざを示す。

兵庫芸術文化センター管弦楽団ホームページより:引用

第2部:5日目(14曲目〜19曲目)

14曲目《ガブリエル》レチタティーヴォ

神による、空と海に生きる生命の創造をガブリエルが告げます。

15曲目《ガブリエル》アリア
  • 誇り高きワシ
  • 陽気なヒバリ
  • ハトは鳴き
  • ウグイスはその美しき声で歌う 

そう、空を生きる生命の誕生です。 

16曲目《ラファエル》レチタティーヴォ

神による海に生きる生命の創造が、ラファエルによって告げられます。 

17曲目《ラファエル》レチタティーヴォ

「天使たちが神のたて琴をもって神の偉業を讃えた」とラファエルが語ります。  

18曲目《ガブリエル、ウリエル、ラファエル》三重唱

ガブリエル、ウリエル、ラファエルの3天使による三重唱から始まります。

 3天使が交互に歌い始めます。

  • ガブリエルは、
    緑におおわれた丘と湧き出る清らかな泉を讃える歌を歌います。
  • ウリエルは、
    空に遊ぶ鳥が燦々(さんさん)と降りそそぐ大陽の光を受けて飛び交う様を歌い、
  • ラファエルは、
    魚の群れ泳ぎ、海の巨大な生物がその生命を謳歌する様を歌います

そして、このあと三重唱が続きます。

おお、神はなんと多くの事業を成したことか!
その業(わざ)の数は、はかりしれず…

おお神よ!!

 

19曲目《独唱つき合唱》

 神の力の偉大さと、その永遠性が3天使の独唱と合唱とともに高らかに歌われます。

第2部:6日目(20曲目〜28曲目)

20曲目《ラファエル》レチタティーヴォ

神のよる「陸に生きる生物の創造」をラファエルが告げます。  

21曲目《ラファエル》レチタティーヴォ
  • ライオン
  • トラ
  • シカ
  • ウマ
  • ウシ
  • ヒツジ
  • ムシ

の創造が楽しく明るく歌われます。 

22曲目《ラファエル》アリア

地にあふれる動物や虫について歌いながら、ふと気づきます。

まだ創造されていないものがあります。

そう、人間です…。 

23曲目《ウリエル》レチタティーヴォ

ウリエルは告げます。

神は自分に似せて人間の創造を行います。

24曲目《ウリエル》アリア

そして、人間を創るにあたって、

  • 威厳
  • 気高さ
  • 思慮深さ

そんな傾向をもたせます。

そして、神の息吹を送り込むと生命が宿りました

それが男として誕生し、さらに、男に優しく寄り添うものが現れます。

これが女としてのチャーミングな人間の誕生です。 

25曲目《ラファエル》レチタティーヴォ

 神による6日目の創造を祝い、天使たちが喜びの讃歌を歌います。 

26曲目《合唱》 

ここで一度、小規模の合唱がはさまれます。

27曲目《ガブリエル、ウリエル、ラファエル》三重唱

3天使によるスローテンポの三重唱になります。

ガブリエルとウリエルによる二重唱ではじまり、それに続いてラファエルの独唱が続きますが、この際すこし暗めにトーンダウンします。

そして、最後は3天使が三重唱によって歌います。

しっとりとした印象の曲として流れます。  

28曲目《合唱》

第2部の終わり、そして神の6日間の仕事の完成を讃えて終わります。

最後はとても華々しく壮大なフーガへと発展して感動的に終わっていきます。

神の偉大な事業は完成を見た!
神の尊厳を賛美せよ!

神のみ高し!
ハレルヤ!!

 

第3部:アダムとイヴ(29曲目〜34曲目) 

29曲目《ウリエル》管弦楽と伴奏付きレチタティーヴォ

この第3部からあとは神に似せて創られた人間のことが描かれます。

管弦楽を使用した優しい1曲です。

アダムとイヴの楽園での生活がおだやかに描かれます。 

30曲目《アダム、イヴ》合唱付き二重唱

アダムとイヴの神への感謝の思いが歌われていきます。

そして、途中からは合唱が加わって荘厳に展開する1曲となっています。 

31曲目《アダム、イヴ》レチタティーヴォ

アダムとイヴがお互いの絆を深め合うさまが歌われていきます。 

32曲目《アダム、イヴ》二重唱

アダムが歌い、続いてイヴが歌います。

そして2人はともに歌い、優美で叙情的歌われていきます。 

33曲目《ウリエル》レチタティーヴォ

アダムとイヴに対するウリエルの祝福の言葉が歌われていきます。

おお幸いなる夫婦よ
永遠の幸福であれ

悪のさそいに惑わされることのないように
ともに自己を見つめ賢くあれ

34曲目《合唱》

感動的なひとつの旋律にさまざまな楽器や声が重なっていきながら、それがフーガへとつながり発展してきます。

神に向けて声を重ねて歌え!
全ての業(わざ)に 感謝せよ!
その名に栄光あれ。
賞賛の声をあげ鳴り響け。
神の栄光は永遠なり!
アーメン!!

 

【3枚の名盤の感想と解説】ハイドン:天地創造

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ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヤノヴィッツ(S)ヴンダーリヒ(T)他
 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

  • 豪華な歌手陣 !
  • 超絶美しいアンサンブル!
  • 帝王の名をほしいままにした指揮者カラヤン!

カラヤンの人生で4度録音したハイドン《天地創造》の中の1969年の録音盤です。

もちろん音のクリアさには弱冠の不満は残るかもしれませんね。

そのような向きには84年版の録音がオススメです。

ただ1969年版は、やはり一度は聴いておきたい名盤ではありますね。 

 

レナード・バーンスタイン:指揮
バイエルン放送交響楽団
ブレゲン(S)モーザー(T)
 

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アルパカのおすすめ度★★★☆☆

【名盤の解説】

  • 情熱系
  • 突っ走り系
  • 乗り移り系 

どんな表現がピッタリくるのでしょう!?

神が情熱いっぱいに天地や生物、人間を創造していくさまは聴いていて熱くなります

ちょっと熱すぎて2時間近く聴き続けるのに困難を感じるかもしれませんので、休憩を挟んだほうがいい名盤かも…。

若くてフレッシュな感性をお持ちの方は通しで聴ける名盤ではあります。

あまりのオシの強さに体力のもたない私、アルパカは休憩を入れてまったり聴きます♫

まあそんな意味で好き嫌いがはっきり出る名盤とも言えそうです。 

 

ニコラウス・アーノンクール:指揮
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
アルノルト・シェーンベルク合唱団
 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】 

大御所ひしめく名盤群のなかで、少しホッとする名盤を推すのでしたらアーノンクール版はいいですね。

この演奏がハイドンの生きた時代に近い演奏といえます。

素朴な雰囲気はむしろ「無」から「有」を生み出す際の神の純粋な思いが感じられて中々いい雰囲気を出しています。

実はアルパカとしてはこの名盤をよく聴きます。

「パンチの少なさ」が物足りない向きにはオススメしませんが変わったテイストで聴くのも悪くないと思う方にはいいかも…。

「宇宙や人類の原初の風景のシンプルさ」に思いを馳せたい時に聴きたい名盤です。 

  

 

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【まとめ】ハイドン:天地創造

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さて、ハイドン《天地創造》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

  • 荘厳!
  • 雄大!
  • なのに楽しいオラトリオ♫

ハイドンの楽天的な性格が産み出した神の《天地創造》の物語…。

さあ、バリバリと音を立てて、行われる神による創造の音を聴いてみませんか!?

 

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

www.alpacablog.jp

 

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