アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲【解説と名盤3選】旋律たちは舞う!

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よき旋律は

小春びより!

移り変りの美しさ

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「いい旋律見〜つけ!」

ある時、ふと手にした楽譜を見てブラームスに降りてくる変奏曲のインスピレーション。今回は、ブラームス作曲のハイドンの主題による変奏曲解説とおすすめ名盤を紹介です。

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【解説】ハイドンの主題による変奏曲

ブラームスは、(中略)少年時代から鉛の兵隊の玩具をいろいろと並べかえて空想をはばたかせながら遊ぶのが好きで、そうしたところに変奏曲好きの性格をみせていたといわれている。日本の将棋や碁に関心をもつ可能性もブラームスにはずいぶんあったに違いない。ブラームスは、1873年夏、40歳のときに避暑地のトゥツィングで「ハイドンの主題による変奏曲」を完成した。そして、これは、ブラームスの管弦楽用の唯一の独立した変奏曲となった

出典:門馬直美 著 「管弦楽・協奏曲名曲名盤100」P68より引用

1870年、ブラームスはハイドンが作曲した「管楽器のための6曲のディヴェルティメント」の楽譜に出会います。知り合いのウィーン楽友協会のカール・フェルディナント・ポールから楽譜を見せられたことがきっかけでした。ブラームスは、この「管楽器のための6曲のディヴェルティメント」の中の第2楽章にあたる「聖アントニウスのコラール」に惹かれます。

このメロディを「2台のピアノのための変奏曲」として作曲して、ブラームス自身とクララ・シューマンのピアノによって初演。後にオーケストラ版に編曲したものが「ハイドンの主題による変奏曲」として完成します。

現在では「ハイドンの主題による変奏曲」のもととなった「管楽器のための6曲のディヴェルティメント」はハイドンの作ではないことがわかっています。この中の「聖アントニウスのコラール」という曲自体も過去の賛美歌のメロディを引用したものです。

現在「聖アントニウスのコラールによる変奏曲」と別名で呼ぶこともあります。しかし、一般的には「ハイドンの主題による変奏曲」と呼ばれることがほとんどです。

初演:1873年11月2日ウィーンの楽友協会大ホールにて

指揮:ブラームス自身

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

編成:

弦5部、フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2、ホルン×4、トランペット×4、ティンパニ、トライアングル

 

【各曲を解説】ハイドンの主題による変奏曲

主題 アンダンテ(歩く速さで)

「管楽器のための6曲のディヴェルティメント」の第2楽章で導入された「聖アントニウスのコラール」の親しみやすいメロディが歌われます。この後の展開が楽しみな晴れた春の日の喜びのような1曲です。

第1変奏 ポコ・ピウ・アニマート(少し活き活きと速く)

いっぱいの希望を胸に秘めながら力強い未来を見据えているような明るい1曲です。2つのメロディが同時に進みながら暖かい印象の曲が紡がれます

第2変奏 ピウ・ヴィヴァーチェ(より快速に)

暗い感情を帯びた曲です。リズミカルで快い舞曲風の速いテンポで展開します。

第3変奏 コン・モート(動きをつけて)

木管がメインになって歌いながら弦がしっかり支えて紡がれていく柔らかい印象の1曲です。

第4変奏 アンダンテ・コン・モート(歩くような速さ、動きを付けて)

寂寥感に満ちた旋律がオーボエとホルンによって歌われます。ブラームスの短調の曲らしく深い孤独に打ち沈むように流れます。

第5変奏 ヴィヴァーチェ(活き活きと)

軽快に明るく、そしてリズミカルに強弱を付けながら豊かなバイタリティを発揮します。

第6変奏 ヴィヴァーチェ(活き活きと)

第5変奏を引き継ぎ元気で明るく展開します。全曲の中でも中間の盛り上がりといっていい強烈で推進力のある曲です。

第7変奏 グラジオーソ(優美に)

のどかな田園にあって人々が睦み合い楽しみながら喜んでいるような曲。

第8変奏 プレスト・ノン・トロッポ(極めて速く、でも速すぎずに)

陰うつで不安定な音楽が不気味に舞い踊るようで、どことなく夢を見るような幻想的な印象もあります。

終曲 アンダンテ(歩く速さで)

この終曲自体がパッサカリアという変奏曲形式で作曲されています。静かにはじまりながら音楽は徐々に熱を帯び盛り上がりながら終わりを迎えます

 

【名盤3選の感想と解説】ハイドンの主題による変奏曲

 

カルロ・マリア・ジュリーニ:指揮 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

「ハイドンの主題による変奏曲」の持つ幸福感をこれほどまでに表出させた名盤は珍しい。ブラームスの交響曲のアルバムを買うと、ふと付いてくる「ハイドンの主題による変奏曲」はこれのみを目的に購入することはまずありません。でもジュリーニ指揮だったら求めてでも欲しくなります。

柔らかくなめらかに流れていく音にはグッと惹かれるものがありますし、終始ほほ笑むような優しさはジュリーニ独特の音楽です。

ブルーノ・ワルター:指揮 コロンビア交響楽団 

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【名盤の解説】

暖かみのあるワルターの名盤も聴いておきたいところです。ジュリーニの項で紹介したウィーンフィルハーモニー管弦楽団のような滑らかさには届かないものの実に包容力があり安心して聴けます

コロンビア交響楽団を自然と鳴らせて力みがなく、計算も感じさせません。ワルター自身の持つロマンティシズムをブラームスという音楽言語を借りて語り尽くした名盤です。

ベルナルド・ハイティンク:指揮 ボストン交響楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

ワルターの名盤と共通したいい意味での力みのなさがありながら「骨のある弦」と「歌う管楽器」「厚みのある打楽器」はどれも聴きものです。「ハイドンの主題による変奏曲」の本来のメロディの心地よさを大切にしながらしっかりと音楽を構築するところはハイティンクらしい。何度聴いても飽きのこない堅実に作り上げられた名盤です。

 

【まとめ】ハイドンの主題による変奏曲

ブラームスハイドンの主題による変奏曲の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

よき旋律は

小春びより!

移り変りの美しさ

ふと手にした過去の楽譜からステキな旋律を見つけ出すところは、なんともブラームスらしい。美しく移り変わっていく変奏曲に仕上げてしまうあたりもさすがですね。変幻自在に発想してブラームスが作り上げた名曲「ハイドンの主題による変奏曲」。ブラームスの交響曲のアルバムを買って付いてきたオマケのような立ち位置がさみしい…。

たまには「ハイドンの主題による変奏曲」ひとつに聴き惚れる時を持つのも楽しいものですね。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

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