難しソナタは
優しいソナタ
弾む楽しさ、つめ込んで…。
易(やさ)しくなれなかったソナタ…。
それでもやっぱり優(やさ)しいソナタ…。
今回は、モーツァルト:ピアノソナタ第17(18)番の解説とおすすめ名盤を紹介です。
注:モーツァルト:ピアノソナタ「第17番」という表記は旧モーツァルト全集での番号になります。本記事では新モーツァルト全集としての「第18番」との表記は(18)と付記しています。
- 【解説】モーツァルト《ピアノソナタ第17(18)番》
- 【各楽章を解説】モーツァルト《ピアノソナタ第17(18)番》
- 【名盤2選の感想と解説】モーツァルト《ピアノソナタ第17(18)番》
- 【まとめ】モーツァルト《ピアノソナタ第17(18)番》
【解説】モーツァルト《ピアノソナタ第17(18)番》
金の苦労。 不安な健康状態。 愛情の悩み。 この期のモーツァルトの作品が非常に少なかったところをみると、それらは大きな障害となっていたにちがいない。(中略)プロシア国王に約束した弦楽四重奏曲と、第一王女フリーデリーケの求めによるピアノ・ソナタの下準備にとりかかったのみであった。それらはいずれも6曲ずつの註文であったが、今日では3曲の四重奏曲と、 1曲のピアノ・ソナタしか残されていない。
出典:アンリ・ゲオン 著「モーツァルトとの散歩」p293より引用
解説にありますプロシア国王(フリードリヒ・ヴィルヘルム2世)の依頼したピアノ・ソナタは本来、
「やさしいピアノ・ソナタの作曲を…」
モーツァルトに依頼していました。しかし
実際にはモーツァルトのピアノソナタの中でも演奏が難しい作品となっている。
とのことで、依頼主の要求には応えられてはいません。この頃のモーツァルトは解説にありますように
- 金の苦労
- 不安な健康状態
- 愛情の悩み
それ以外にも、すでに聴衆に向けて作曲する音楽というよりは「自分の内面に宿る感性の発露」のようなものを表現することを求めていました。
このため弾きこなすには難解なピアノソナタが生まれたわけですが、実際は聴けば聴くほど優しいピアノソナタに聴こえてきます。
つまり、
- 易(やさ)しくはないけど
- そこはかとなく優(やさ)しい
そんな不思議な魅力を持つピアノソナタでもあると言えそうです。
【各楽章を解説】モーツァルト《ピアノソナタ第17(18)番》
第1楽章 アレグロ(速く)
弾む
弾むよ
ピアノは弾む!
弾んで
弾めば
弾む時
ピアノ弾んで
喜んで!
ピアノ弾んで
歌ってる
ピアノ弾んで
幸せに
弾む
弾むよ
ピアノは弾む!
弾んで
弾めば
弾む時
いつも楽しい
モーツァルト
時たま悲しい
モーツァルト
けれども楽しい
モーツァルト
弾む
弾むよ
ピアノは弾む!
弾んで
弾めば
弾む時
ピアノ弾んで
喜んで!
第2楽章 アダージョ(ゆっくりと)
ふんわり優しい2楽章
ほほえむピアノと思いきや
憂(うれ)える気持ちが
湧いてきて
寂しくうたうは
ピアノの涙…
もいちど
戻って優しいピアノ
ふんわり優しい2楽章
ほほえむピアノが
うれしくて…
第3楽章 アレグレット(やや速く)
1楽章ほど弾まない
それでも楽しい3楽章
うれしい気持ちが
止まらない
優しい気持ちは
弾んでる
うれしく
優しく
弾んでる
うれしい気持ちが
止まらない
優しい気持ちは
弾んでる
【名盤2選の感想と解説】モーツァルト《ピアノソナタ第17(18)番》
マリア・ジョアン・ピリス:ピアノ
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
弾む気持ちと優しい思い…。ピリスの弾くモーツァルトはとても心地いい。
弾むピアノの中に、ほどよい音の流れが絶妙に加味されていて飽きることのない名盤です。
かわいらしく遊び回る、屈託のない子どもたちのほほ笑みすら浮かんで来そうなピアノなところがステキ。
ピリスの弾くモーツァルトはどの曲も魅力的ですので通して聴いてみるのもいいものですね。
フリードリヒ・グルダ:ピアノ
アルパカのおすすめ度★★★★☆
【名盤の解説】
ピリスの名盤とは間逆な魅力を放っています。弾むピアノの中にキラリと光るカッコいいニュアンスのピアニズムが現れる名盤です。
甘く優しいモーツァルトもいいものですが、たまにはピリッと背筋が真っ直ぐになるような爽快なモーツァルトも聴いてみたいものです。
「ジャズ風」とまでは行かないまでも「洗練された大人なモーツァルト」が楽しめる名盤ですね。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【まとめ】モーツァルト《ピアノソナタ第17(18)番》
さて、モーツァルト《ピアノソナタ第17(18)番》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
弾む楽しさ、つめ込んで…易(やさ)しくなれなかったソナタ…。それでもやっぱり優(やさ)しいソナタ…。
晩年のモーツァルトのツラい毎日の中で生まれた素朴で明るいソナタは人の心も明るくしてくれます。
心と作品とのコントラストを聴き取るというのもモーツァルトを聴く際の楽しみでもありますね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。