アルパカと聴く幸福なクラシック

幸福なひとときを与えてくれる、クラシック音楽との出会い

プロコフィエフ 「組曲『キージェ中尉』」【あいつはどこだ?壮大なる「ウソ」物語の感想】名盤紹介あり

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 全体的に、とても明るく、楽しい基調で書かれていて、メロディも親しみやすい名曲です。」


キージェ中尉 「トロイカ」

(youtubeをポチって音楽を聴きながら読んでみてくださいね。”iPhoneの場合は全面表示されてしまったら2本指で内側にむけてピンチインしてください。”)

とっさのトラブルの際に、その場をつくろうための「小さなウソ」をついてしまったことはありませんか?
それがいずれかの拍子につじつまが合わない会話に発展して、ウソの上にさらにウソで塗り固める。
そんな積み重ねをした段階で「いっそのこと正直に打ちあけて理解をもとめておけばこんな大変な気持ちにはならなかったのにな…」なんて後悔したりして…。

 そんなウソに増して、さらに、ウソを塗り固めたがゆえに「ひとりの空想の英雄」が大活躍してしまったという「壮大なる『ウソ』」の物語はおひとついかが?

では、まず『キージェ中尉』の物語を簡単に説明してみたいと思います。 

1.プロコフィエフ 『キージェ中尉』のあらすじ

1-1.皇帝のお怒り

時は帝政ロシアの時代。
ある日の昼下がり、皇帝が、すやすやと気持ちよく昼寝をしていますと、ある女官が大きな悲鳴をあげます。「きゃー!!」

その大きな悲鳴によって目を覚まされてしまった皇帝は大おこりします。

「今日の当直責任者は誰か!」

あわてふためいた臣下が、あいまいに、たどたどしく答えますが、皇帝はそれを聞き違えます。

「キージェ中尉か。それならその者を極寒のシベリアへの流刑に処す!」

そんな命令を下します。

1-2.皇帝のお心変わり

さて、臣下たちは架空の人物をシベリア送りにしたことにしてホッと胸をなでおろします。

しかし、数日たったある日、皇帝は
「もしかしたらキージェ中尉は暗殺者からワシの身を守るためにあんなことを女官にさせたのかもしれぬ。」

そう考え、皇帝はキージェ中尉に恩赦を与え、呼び戻すように臣下に命令を下します。

そして、さらに褒美(ほうび)として国の中でも絶世の美女と誉れの高い者と結婚させろと言ってきます。

臣下たちは、なんとか、いつわりの結婚式をあげることで事なきを得ますが、臣下たちの心労は日々つのるばかり。今後、なにごともなく時が過ぎてゆくことを祈るばかりですが、そんな願いは見事に裏切られます。

なぜならば、皇帝は、キージェ中尉に功労として勲章を与えることを決定したからです。

血の気が引いていく臣下たち。

「さあ、どうする。」

「キージェなんて全く存在しない人物だぞ。」

「でもこのままだと私たちは刑は免れないし、ウソをついていた期間が長いため、死刑という結果もないとは言い切れんぞ!」

さあ、どうしたものか、臣下たちは戦々恐々です。

1-3.妙案ひらめく?

「万事休す」とはこのこと。臣下たちは、考えあぐねて時は過ぎるばかり。

そして、ある臣下に妙案がひらめきます。

 「キージェ中尉には戦場において戦死してもらおう。」
「どういうことだ。」
「つまり、キージェ中尉が死んだことにすることによって、すべてをご破算にしてしまえば、全てが解決するのではないか。」
「なるほど、それは妙案だ。その方向で話を進めよう。」

一同が大賛成します。

そして臣下たちは、その旨、涙ながらに皇帝に告げます。

臣下たちは、名誉の戦死を遂げたキージェ中尉の戦場での勇敢な活躍を、涙ながらに皇帝に告げたうえで、壮大な葬儀を執り行うことを伝えます。

そして、その内容を聞いた皇帝も心から同意し、キージェ中尉の安らかなることを祈るとともに、臣下たちの心の中にも安らかなる日々が戻ってきたのでした。

2.「キージェ中尉」を聴いてみよう

 

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2-1.キージェの誕生

トランペットが静かに奏でられながら、次第にかわいらしいピッコロとフルートの旋律が混ざり合います。その後さらに、様々な楽器が絡み合いながら勇壮な行進曲を織りなしていきます。そう、これこそ『キージェ中尉』の始まりの曲です。

2-2.ロマンス

「キージェ中尉」のテーマをゆっくりめのテンポでしっとりと聴いていく内容です。
架空の人物にしては、リアルな恋物語を思わせてくれる、そんなロマンティックな一曲ですね。

2-3.キージェの結婚

盛大で豪華な(架空の)結婚式がもよおされている様が色彩豊かに活き活きと描かれています。
皇帝に振り回されながら、慌てふためく臣下たちの影の活躍とそれこそ影の存在であるキージェ中尉の喜びの笑みが見えてくるようですよね。

2-4.トロイカ

シベリアの広大な雪原をキージェ中尉があやつる三頭立てのソリがスピーディーに滑走していく。そんなイメージでしょうか。

2-5.キージェの葬式

これまで奏でてきたメロディが重なりながら、壮大なスケールで音楽が展開していきます。

キージェ中尉の名誉の戦死による荘厳な葬式。
「本当は存在しないキージェ中尉」の人生の様々な出来事を色彩豊かに振り返るという内容の楽曲ですね。

3.好きなアルバムを見つけよう(名盤紹介)

さて、アルパカもそんなにたくさんのアルバムを聴いてきたわけではありません。
ただ、アルバム自体は、多い方で様々な『キージェ中尉』が様々な色合いを伴っての演奏が展開します。
それは、現代でも、素晴らしい原作のアニメがドラマになったり、演劇になったりして、それこそ色合いの違うおもむきを楽しむのに似ているかもしれません。

さて、ではそんな数あるアルバムの中から2枚ほどご紹介させていただきますね。

 
 

アルパカがよく聴くのはオーマンディ指揮のもの。

全体的に骨太で、リズムも勇壮です。およそこの「キージェ中尉」の演奏にはこんなリズム感があり、またワクワク感のあるアルバムで聴きたいですね。

 
 

マゼル指揮のものは全体が非常に整っていて、上品な「キージェ中尉」が聴けます。もちろんそれは、オーマンディ指揮のものとの比較でそう感じるだけで、はずむばかりの演奏に、変わりはありせん。言うなれば、ちょっとしたテイストの違いのようなもの…かな。

まとめ

いかがでしたか。

「キージェ中尉」という(実在しない)人物を中心に展開するドタバタなドラマはいかにも楽しげで聴くだけで元気が出てきてしまうのですよね。

こんな愉快で「壮大なる『ウソ』」の物語を聴いて胸、踊らせてみませんか?

↓他にも、こんなに楽しい音楽物語もありますよ♬

チャイコフスキー 「くるみ割り人形」【ファンタジー物語への旅に出よう!】

グリンカ「歌劇『ルスランとリュドミーラ』」【さらわれた姫を救え!1曲の冒険活劇】

プッチーニ「わたしのお父さん」【この1曲に好きな人への気もちをのせて】 

そんなわけで…

 

『一つの曲で、たくさんな楽しみが満喫できる。

 それがクラシック音楽の醍醐味ですよね。』

 

今回は以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。