アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方を解説します。

プロコフィエフ :組曲《キージェ中尉》【あらすじと3枚の名盤解説】あいつはどこだ?壮大なる「ウソ」物語

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 全体的に、とても明るく、楽しい基調で書かれていて、メロディも親しみやすい名曲です。」


プロコフィエフ :組曲《キージェ中尉》「トロイカ」

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とっさのトラブルの際に、その場をつくろうための「小さなウソ」をついてしまったことはありませんか?

それがいずれかの拍子につじつまが合わない会話に発展して、ウソの上にさらにウソで塗り固める。

そんな積み重ねをした段階で「いっそのこと正直に打ちあけて理解をもとめておけばこんな大変な気持ちにはならなかったのにな…」なんて後悔したりして…。

 そんなウソに増して、さらに、ウソを塗り固めたがゆえに「ひとりの空想の英雄」が大活躍してしまったという「壮大なる『ウソ』」の物語はおひとついかが?

では、まず『キージェ中尉』の物語を簡単に説明してみたいと思います。 

【あらすじを解説】プロコフィエフ :組曲《キージェ中尉》

皇帝のお怒り

時は帝政ロシアの時代。

ある日の昼下がり、皇帝が、すやすやと気持ちよく昼寝をしていますと、ある女官が大きな悲鳴をあげます。「きゃー!!」

その大きな悲鳴によって目を覚まされてしまった皇帝は大おこりします。

「今日の当直責任者は誰か!」

あわてふためいた臣下が、あいまいに、たどたどしく答えますが、皇帝はそれを聞き違えます。

「キージェ中尉か。それならその者を極寒のシベリアへの流刑に処す!」

そんな命令を下します。

皇帝のお心変わり

さて、臣下たちは架空の人物をシベリア送りにしたことにしてホッと胸をなでおろします。

しかし、数日たったある日、皇帝は

「もしかしたらキージェ中尉は暗殺者からワシの身を守るためにあんなことを女官にさせたのかもしれぬ。」

そう考え、皇帝はキージェ中尉に恩赦を与え、呼び戻すように臣下に命令を下します。

そして、さらに褒美(ほうび)として国の中でも絶世の美女と誉れの高い者と結婚させろと言ってきます。

臣下たちは、なんとか、いつわりの結婚式をあげることで事なきを得ますが、臣下たちの心労は日々つのるばかり。今後、なにごともなく時が過ぎてゆくことを祈るばかりですが、そんな願いは見事に裏切られます。

なぜならば、皇帝は、キージェ中尉に功労として勲章を与えることを決定したからです。

血の気が引いていく臣下たち。

「さあ、どうする。」

「キージェなんて全く存在しない人物だぞ。」

「でもこのままだと私たちは刑は免れないし、ウソをついていた期間が長いため、死刑という結果もないとは言い切れんぞ!」

さあ、どうしたものか、臣下たちは戦々恐々です。

妙案ひらめく?

「万事休す」とはこのこと。臣下たちは、考えあぐねて時は過ぎるばかり。

そして、ある臣下に妙案がひらめきます。

 「キージェ中尉には戦場において戦死してもらおう。」

「どういうことだ。」

「つまり、キージェ中尉が死んだことにすることによって、すべてをご破算にしてしまえば、全てが解決するのではないか。」

「なるほど、それは妙案だ。その方向で話を進めよう。」

一同が大賛成します。

そして臣下たちは、その旨、涙ながらに皇帝に告げます。

臣下たちは、名誉の戦死を遂げたキージェ中尉の戦場での勇敢な活躍を、涙ながらに皇帝に告げたうえで、壮大な葬儀を執り行うことを伝えます。

そして、その内容を聞いた皇帝も心から同意し、キージェ中尉の安らかなることを祈るとともに、臣下たちの心の中にも安らかなる日々が戻ってきたのでした。

【各曲を解説】(滑走!トロイカ!!) プロコフィエフ :組曲《キージェ中尉》

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キージェの誕生

トランペットが静かに奏でられながら、次第にかわいらしいピッコロとフルートの旋律が混ざり合います。その後さらに、様々な楽器が絡み合いながら勇壮な行進曲を織りなしていきます。そう、これこそ『キージェ中尉』の始まりの曲です。

ロマンス

《キージェ中尉》のテーマをゆっくりめのテンポでしっとりと聴いていく内容です。
架空の人物にしては、リアルな恋物語を思わせてくれる、そんなロマンティックな一曲ですね。

キージェの結婚

盛大で豪華な(架空の)結婚式がもよおされている様が色彩豊かに活き活きと描かれています。

皇帝に振り回されながら、慌てふためく臣下たちの影の活躍とそれこそ影の存在であるキージェ中尉の喜びの笑みが見えてくるようですよね。

トロイカ

シベリアの広大な雪原をキージェ中尉があやつる馬の3頭立てのソリがスピーディーに滑走していきます。

雪けむりを巻き上げて、3頭の馬たちが「ヒヒ〜ン!」といななきながら駆け抜ける。
普段、「パカラ!パカラ!」「パカラ!パカラ!」と走る馬のヒズメの音。

雪原では「シャララ!シャララ!」「シャララ!シャララ!」という音に変わり、雪国の寒さや、しばれる寒さを想像させますね。

躍動する馬と、雪上をゆく爽快感が見事に表現された一曲です。

キージェの葬式

これまで奏でてきたメロディが重なりながら、壮大なスケールで音楽が展開していきます。

キージェ中尉の名誉の戦死による荘厳な葬式。

「本当は存在しないキージェ中尉」の人生の様々な出来事を色彩豊かに振り返るという内容の楽曲ですね。

【名盤解説】プロコフィエフ :組曲《キージェ中尉》

アルバム自体は、多い方で様々な『キージェ中尉』が様々な色合いを伴っての演奏が展開します。

それは、現代でも、素晴らしい原作のアニメがドラマになったり、演劇になったりして、それこそ色合いの違うおもむきを楽しむのに似ているかもしれません。

さて、ではそんな数あるアルバムの中から2枚ほどご紹介させていただきますね。

ユージン・オーマンディ:指揮 フィラデルフィア管弦楽団

アルパカにとって、初めてのプロコフィエフ :組曲《キージェ中尉》体験アルバム。

力強く、また勇敢でもあるキージェ中尉が活躍する姿が、オーマンディの骨太な表現でいかんなく表現されていて、プロコフィエフ :組曲《キージェ中尉》の世界に引き込まれた音体験は忘れません!

うわべだけのお上手な言葉をつらねてウソを付きまくる臣下たちの活躍まで勇敢に感じられるから不思議!!

「トロイカ」における馬の3頭立てのソリも元気に駆け抜ける様がうかがえます。

このプロコフィエフ :組曲《キージェ中尉》の楽しさを一音一音に込めた勇敢な演奏を求めるならこの1枚ですね。 

ジョージ・セル:指揮 クリーヴランド管弦楽団 

理性と知性を兼ねそなえ、しかも勇敢である英雄キージェ中尉の誕生です。

「理性と知性」と「あたたかさ」の素晴らしいバランス感覚はセル独特のもの!

敵に対して勇猛果敢(ゆうもうかかん)に攻め込みながら、その頭脳は常に戦場の全体に神経が行き渡り、細部における取りこぼしもありません。

では、皇帝の臣下たちはどうか。

やっぱり、深い知恵をもった、お調子者よろしく皇帝を煙(けむ)に巻きます。

そんなおどけた中にもキラリと光る鋭い個性を感じます。

そんな、どこかピリッとひきしまった珠玉の1枚。 

シャルル・デゥトワ:指揮 モントリオール交響楽団 

フレッシュ、鮮やかな音の色彩、リスムのノリなどが素晴らしく、ドラマティック。

架空のヒーロー、キージェ中尉が、まるで、目の前で、勇ましく活躍している姿がありありと見えるようです。

明るくて、懐の深く多くの部下に慕われる徳高き、キージェ中尉の姿が浮かんでくるようですね。

【解説と名盤、まとめ】プロコフィエフ :組曲《キージェ中尉》 

さて、プロコフィエフ :組曲「キージェ中尉」の名盤と解説はいかがでしたか。

「キージェ中尉」という(実在しない)人物を中心に展開するドタバタなドラマはいかにも楽しげで聴くだけで元気が出てきてしまうのですよね。

こんな愉快で「壮大なる『ウソ』」の物語を聴いて胸、踊らせてみませんか?

さて、名盤の紹介と解説はいかがでしたか? 

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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