アルパカと聴く幸福なクラシック

クラシック音楽が大好きなアルパカが名盤を解説します。曲のなりたちや魅力、おすすめの聴き方もお伝えしますよ♫

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シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》【名盤3枚と解説|感想】

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はじける感性!

みずみずしい響き

こころ躍るメロディ♫

 

ふだんのシューベルトのほの暗い感情が打ち破られて顔を出す、

  • 明るくて
  • 楽しい
  • 幸福な名曲!

 

シューベルト:弦楽五重奏曲《ます》の解説とおすすめ名盤を紹介です。

 

 

【解説】シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》

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シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》を解説したこんな一文があります。  

作曲の動機は、シューベルト22歳の1819年の夏、ある音楽マニアの実業家に新曲を所望されたことで、初演もおそらくその実業家宅でささやかに行なわれたのである。そのような成立事情もあって、音楽的団欒(だんらん)と呼ぶにふさわしいほのぼのとした気分と機会音楽的な楽しさがこの五重奏曲にはいっぱいで、シューベルトが深刻な顔つきを捨てたときに現われてくる最も美しい資質がここに余すところなく明らかにされている

出典:大木正興・大木正純 共著 「室内楽名曲名盤100」P100より引用

 

シューベルト:ピアノ五重奏曲は、第4楽章の変奏曲にシューベルトの有名な歌曲《ます》のメロディが使われています。

そして、この歌曲の《ます》を非常に好んだ人物がいました。

それが、解説にもありました「音楽マニアの実業家」であり、鉱山技師のジルヴェスター・パウムガルトナーです。

このパウムガルトナーは音楽愛好家であり、自らチェロを演奏することができるほどでした。

そんなパウムガルトナーは、シューベルトにピアノ五重奏曲の作曲を依頼します。

そして、シューベルトはパウムガルトナーが好んだ歌曲《ます》のメロディを、ピアノ五重奏曲の第4楽章の変奏曲の主題に選んでいます。

このことからシューベルト:ピアノ五重奏曲も歌曲と同様に《ます》と呼ばれるようになったのです。

また、楽器編成としては個性的です。

本来「ピアノ五重奏曲」と言いますと、ピアノと弦楽四重奏(第1ヴァイオリン、第2ヴィオリン、ヴィオラ、チェロ)という編成です。

しかし、シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》は第2ヴァイオリンを無くして、そのかわりにコントラバスが加えられているところが個性的と言えます。

 

さて、シューベルトの名曲の多くは「短調で暗め」のものが多いのですが、このピアノ五重奏曲《ます》においては、

  • 明るくて
  • 楽しい
  • 幸福な名曲

そんなたとえがピッタリというくらいの聴きやすい曲になっています。

 

【各楽章を解説】シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》

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それでは、各楽章について解説したいと思います。

シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》は第1楽章から第5楽章までの5曲で成り立っています。

第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ(快活に速く)

ジャ~ン♫

全楽器が、シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》の始りを告げます。

その後も元気で楽しい展開をします。

とてもみずみずしく、まさしく《ます》が、川で愉快に暴れるさまのよう…。

若々しいシューベルトの「フレッシュな感性の弾ける光のつぶ」がそこらじゅうに飛び散り舞い上がる!

そんなイメージの1曲です。 

第2楽章 アンダンテ(歩く速さで)

優雅にたおやかにピアノが歌えば、それに続いてヴァイオリンも歌い始めます。

終始遅めのテンポで展開しますが一瞬、シューベルトらしい憂うつなメロディがはさまれます。

しかし、それも長く続くことはありません。

シューベルトらしくない(?)明るさと優しさがあります。

 

第3楽章 スケルツォ:プレスト(急速で快活に:きわめて速く)

ピアノと弦楽器たちが 元気に躍動する楽曲で「底抜けに明るく力強い」1曲になっています。

途中のスローテンポに変わるところでも、本来シューベルトの音楽にある暗さは顔を出すことはなく、ここでもピアノ五重奏曲《ます》の特徴が表れていると言えます。

 

第4楽章 アンダンティーノ:アレグレット(歩く速さよりやや速く:やや速く)

「歌う変奏曲」とも言えそうな第4楽章の、まずはそのもととなった歌曲《ます》のポエムをみてみましょう。

清く澄んでる小川をゆくは 

元気にはしゃぐ 

きまぐれなマス 

矢よりも速く泳ぐマス

 

ぼくは岸辺に立っていた

澄んだ小川 

スイスイ泳ぐマスたちを 

気持ちウキウキ、ながめてた 

 

釣りざお手にした釣り人が 

岸辺に立って、 

魚の動きゆくさまを 

のんびり冷たく眺めてた

 

ぼくはその時、思ったよ 

小川の水が澄んでる限り 

釣り人、釣りざおめがけては 

マスのかかること、ないだろと… 

 

ところがついに釣り人は 

あせる気持ちに逆らえず 

川をまぜまぜ、にごらせた 

ぼくが思うヒマもなく

 

さおは小川に引き込まれ 

その先、マスは荒れ狂う…! 

ぼくはテンションあげながら 

罠(わな)に暴れるマス、見てた!

 

こんな感じのポエムであって、釣り人とそれを眺める者のさまを歌ったものでとても素朴で楽しい風景が描かれています。 

では、変奏曲の1曲1曲を詳しく見ていきましょう。 

主題

ヴァイオリンによって歌曲《ます》の主題が 奏でられます。

第4楽章の序章的なイメージの1曲ですね。

第1変奏

ピアノが主役にかわり《ます》のメロディを歌えば弦楽器たちがそれを盛り上げていきます。 

さてさて、第4楽章、シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》の変奏曲の始まり始まり〜!

第2変奏

ヴァイオリンが高音によるサポートによって他の弦楽器やピアノが自由に歌を歌う、そんな楽しくも優しい宴(うたげ)を思います。

 

第3変奏

弾むピアノと踊る弦楽器。

愉快な気持ちが溢れてる。

そんな豊かな感情の動きを音楽にしたような心も体も踊る1曲です。 

第4変奏

感情を高ぶらせたようなパンチの効いた曲想を持ちます。

しかしシューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》の持つ歌心がそこなわれることはありません。  

第5変奏

テンポがゆったりとしてきて、それぞれの楽器たちの歌が静かに歌われていきます。

ピアノが歌えば弦楽器が応え、弦楽器が歌えばピアノが応えます。  

第6変奏

再び歌曲《ます》の基本メロディに戻ります。

そのメロディを

  • ピアノが 歌い
  • チェロが歌い
  • ヴァイオリンが歌い

そんなそれぞれの楽器が楽しい共演を展開しながら、第4楽章を終えていきます。

第5楽章 アレグロ・ジュスト(やや速く正確なテンポで)

  • さわやか 
  • 華やか
  • みずみずしい

そんな最終楽章です。

なんとも楽しいシューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》の最後を飾るアップテンポであり、また楽器たちがまるで大輪の花をさかせたような鮮やかさ…。

なんとも眩しくも輝かしい最終楽章です。

 

【3枚の名盤の感想と解説】シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》

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アルフレッド・ブレンデル:ピアノ
クリーヴランド四重奏団員&ジェイムズ・ヴァン・デマーク
 

 

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アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

これほどピアノの音の一粒一粒がキラキラ輝いた名盤はないですし、そのピアノを支える 弦楽器の「心から音楽を楽しむ」様子がありありと見える名盤も珍しい。

1978年度のレコード・アカデミー大賞受賞後も長く名盤の地位をゆずらない名盤中の名盤です。

アルフレッド・ブレンデルのピアノの

  • はじけて歌い、
  • みずみずしく弾け、
  • キラキラ放(はな)たる美(うつく)し光!!

他の名盤の中には、

  • 調和的な美しさを放つ名盤
  • 繊細で透明な魅力を持つ名盤

など、様々にありますが、そんな名盤を聴きながらも、いつか一度は聴いておきたい名盤がブレンデルの特に1970年代に録音の名盤ですね。

ぜひ一聴を…。

 

エミール・ギレリス:ピアノ
アマデウス四重奏団&ライナー・ツェペリッツ
 

 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》の本来のメロディの美しさやそこに秘められた優しさがじんわりと伝わってくる名盤です。

  • 「弾ける 」よりは優しくて
  • 「笑ってる」より微笑んで

野に咲く一輪のきれいな花のようなあり方の名盤ですね。 

アンドラーシュ・シフ:ピアノ
ハーゲン弦楽四重奏団員&アロイス・ポッシュ
  

 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

そのキラキラした音の正体は、その存在すらも感じさせいくらいの透明さ。

どこか折り目正しくて、礼儀正しいたたずまいの中に宿る精神はそれ自体が美しい。

そんな名盤です。

シューベルトの憂うつ系の名曲に宿る、

  • 透明性
  • 耽美性
  • きれいな歌曲性

そんなシューベルトの傾向を聴き取れるシフのピアノとそれを支えるハーゲン弦楽四重奏団のサポートが素晴らしい名盤です。 

 

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【まとめ】シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》

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さて、シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

 

  • はじける感性!
  • みずみずしい響き
  • こころ躍るメロディ♫

「歌曲の王」とも呼ばれるシューベルトの「歌ごころ満載」の名曲、ピアノ五重奏曲《ます》。

シューベルトの若々しくも明るい面が表れた名曲とも言えます。

ぜひ、心弾(はじ)ける瞬間をこのシューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》を聴いてみて味わってみてくださいね。 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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