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シューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)【感想|解説と名盤3枚】それは断たれたプレリュード!

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こっちがホントの「未完成」♫

プッツリ、突然、終わっちゃう系!

「幻の弦楽四重奏曲」のナゾを解明しちゃおう!!

突如、途切れる不思議系(?)な名曲…♫

シューベルト:四重奏断章の解説とおすすめ名盤を紹介します。

【解説】シューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)

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シューベルトを襲った自己喪失

四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)を作曲時のシューベルトは23歳。

同じころ、四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)以外の曲も作曲途中で挫折し、中断してしまうということが起きています。

これは、シューベルトが四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)作曲時に精神的に《自己喪失》に陥っていたからだと言われています。

つまり、「ああ、自分とは一体、何者なのか?」「この社会で生きていく価値はあるのか?」などの思いで悩んでしまう状態だったようですね。

 

ほんとうの意味で《未完成》の名曲

シューベルトの有名な曲といえば、《未完成交響曲》です。

交響曲は基本的には4楽章で完成形ですが《未完成交響曲》は第2楽章で終わっています。

ただ、第2楽章で終わっているとはいえ、第1楽章も含めた2曲は、2曲とも完成させてはいます。

しかし、シューベルト:四重奏断章は《未完成交響曲》と同じく第2楽章までありますが、その第2楽章は41小節目で、突如プッツリと「未完成のまま」終わってしまうのです。

そんなわけで、ある意味、シューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)のほうが《未完成》としての性質に近い気がします。

ともあれ、なんとも「不完全燃焼な印象が残るなあ」とは言えそうですね。

ただ、このあと作曲されたシューベルトの晩年の弦楽四重奏曲、第13番から第15番までの3曲が美しく、ひんぱんに演奏もされる名曲たちです。

そういった意味では、このシューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)は、その後に連続して産声をあげる弦楽四重奏曲の名曲たちのプレリュード(前奏曲)だったのだ。

そうとらえると、ますますシューベルトの弦楽四重奏曲の歴史そのものが面白いものと感じられてくるから不思議ですね。

 

【各楽章を解説】シューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)

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それでは、各楽章について解説したいと思います。

シューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)は第1楽章と第2楽章の2曲で成り立っています。

第1楽章 アレグロ・アッサイ(非常に速く)

劇的な弦のトレモロ(小刻みに演奏)で始まるシューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)です。

この刻まれて進む音形は、速度やメロディを変えて印象的に頻繁に現れることで、シューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)を特徴づけています。

そして、なんと言っても歌曲の王とも異名をとるシューベルトです。

歌ごころたっぷりな、美しいメロディが、耳を存分に楽しませてくれますね。

このシューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)の「歌」が、このあとの名作弦楽四重奏曲たちを迎えるべくこだまする

そんな見事なプレリュードになっていると思います。

 

第2楽章 アンダンテ(歩く速さで)

窓からやってくるそよ風がレースのカーテンを静かに、そしてゆるやかに揺らす様を思います。

その動きは、なめらかで、しかも、しなやかです。

そして、ある瞬間、ふと、その風がピタリと止まり……。

そう…終わるのです。

なんとも突然で、なんとも儚(はかな)げな終わり方なのですね。

ある意味、その「儚さ(はかな)さ」こそがシューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)の大きな魅力となっていると言えそうです。

 

【3枚の名盤の感想と解説】シューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)

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メロス四重奏団

 

アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

「明るい基調の澄み切った音世界」が楽しめる朗(ほが)らかな名盤です。

トレモロ(小刻み)に演奏される冒頭の弾む感覚とさわやかさが気持ちいいという感想です。

モーツァルトやベートーヴェンの「弦楽四重奏曲全集」は比較的多いですが、シューベルトの「弦楽四重奏曲全集」の名盤は、多くは出回っていません。

しかし、シューベルトの弦楽四重奏曲はどれも「歌のごころに満ちた、すばらしい曲」ばかりですので、ぜひ一度は聴いておきたいです。

そんな時に、どの名盤を選ぶかを迷うものですが、このメロス四重奏団「弦楽四重奏曲全集」の名盤なら後悔はなさそうですね。 

ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団

 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

モノラル録音で音の質は良くはありませんが、古い録音のわりにはクリアだとの感想を持ちます。

なんと言っても緊張感のあるアンサンブルと、その緊張感が決して冷たくならない「絶妙の美しさと柔らかさ」の名盤です。

しっかり耳を澄まして聴くと、「香り高く品の良い響き」がその技巧とともに再現されているという感想の歴史的な名盤でもありますね。

 

エマーソン弦楽四重奏団

 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

前述の2枚は第1楽章のみの録音ですが、エマーソン弦楽四重奏団は未完の第2楽章も収録されています。

突如として儚(はかな)げに消え入るように終わっていく第2楽章が耳に心地いい、貴重な名盤です。

第1楽章は、早めのテンポでキレの良い心地よさがあるという感想です。

このキレの良さはまるで抜けるようなスカッとあかるい空の青の清らかさです。

第2楽章のシルクのような、なめらかで透明感のある響きは絶品のひとこと…。

「あれ、この突如、終わってしまう儚(はかな)さは、もしかしてシューベルトが狙ってしたことだったの?」

そんな風に思えるくらいの自然さのある演奏で、思わず何度もリピートして聴いてしまうほどの名盤でも、また、ありますね。

 

【解説と名盤、まとめ】シューベルト:四重奏断章(弦楽四重奏曲第12番)

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さて、シューベルト:四重奏断章の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

突然、プッツリ終わっちゃう系の儚(はかな)げな名曲、シューベルト:四重奏断章。

この後に続く第13番から第15番の名曲弦楽四重奏曲のプレリュードとして聴くと、また今までとは違った魅力も見えてくるかもしれませんね。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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