クリスマスイヴの夜
若い2人の出会いと葛藤
芸術を志す仲間たちとの友情物語り
プッチーニ: 歌劇「ラ・ボエーム」:私の名はミミ 第1幕 クリスマス
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美しいプッチーニ節(ぶし)のメロディがいっぱいの、オペラ《ラ・ボエーム》解説とおすすめ名盤を紹介です。
【解説】プッチーニ:ラ・ボエーム
プッチーニ:ラ・ボエームの青春群像を思わせる、こんな解説があります。
舞台は、1830年ごろのパリのカルティエ・ラタン(ラテン区)で、ここは、現在でも学生や芸術家たちが 集まり、このオペラの舞台となった当時のおもかげを強く残している。
そのラテン区のオンボロアパートに住む、貧しいお針子ミミと詩人のロドルフォの悲恋を中心に、若いボヘミアンたちの愛と友情をほのぼのと描いていて、いわば笑いと涙の青春譜となっている。
また、プッチーニのオペラは、どれも比類のない美しい旋律にあふれているが、このオペラでは、とりわけそれがきわだっているのが、大きな特色である。
出典:志鳥栄八郎 著 「不滅の名曲はこのCDで」P411より引用
解説にある通り、まさしく「笑いあり」「涙あり」の「青春群像オペラ」と言えそうですね。
若者たちの軽快なジョークや心遣いにあふれていて微笑ましい内容ですが、なんと、ラストは悲劇的…。
そんな「山あり谷あり」の展開をするプッチーニ:ラ・ボエームは、楽しい笑いと、深い悲しみが同居するコントラストの強い色彩を持ったオペラですね。
【あらすじを解説】プッチーニ:ラ・ボエーム
それでは、ざっくりとあらすじを解説します。
プッチーニ:ラ・ボエームは全4幕のオペラです。
パリを舞台に繰り広げられる、ボエーム(自由気ままに芸術活動をする若者)たちの物語で、おもな登場人物は以下の通りになります。
【登場人物】
ロドルフォ(テノール):詩人
ミミ(ソプラノ):お針子、ロドルフォの恋人
マルチェッロ(バリトン):画家
ムゼッタ(ソプラノ):マルチェッロの元恋人
ショナール(バリトン):音楽家
コルリーネ(バス):哲学者
第1幕 クリスマス・イヴの出会い
時はクリスマス・イヴ、4人の若き芸術家の卵たちが貧しい暮らしをするアパート。
詩人のロドルフォと画家のマルッチェロが、火の気のない寒い室内で、共に作業に没頭しています。
詩人のロドルフォが、あまりの寒さに書き溜めた原稿を暖炉にくべて暖をとります。
そこに哲学者:コルリーネが帰ってきて、お金のなさを嘆いています。
しかし、音楽家のショナールは久々に収入があったらしく、みんなに「カフェに繰り出そう!」と、誘います。
一同、大喜びですが、ロドルフォだけは今、書いている原稿を仕上げてから合流する旨を伝えます。
ひとり黙々と作業するロドルフォですが、そこで誰かがドアをノックする音が聞こえて開けてみるとそこにお針子(裁縫)で生計を立てているミミが立っていました。
ミミは病気がちであるため、めまいで倒れそうになりながら、
ロウソクの火をもらいに来たとの要件をロドルフォに伝え、部屋へ戻るミミでしたが、その際に鍵を落としてしまい部屋へ入れません。
ミミと一緒になって鍵を探すロドルフォでしたが、火が消えてしまった暗闇の中でふたりの手が触れ合い、その瞬間にふたりは恋に落ちたのでした。
第1幕の有名な曲
- 冷たい手を
- 愛らしい乙女よ
G二重唱「愛らしい乙女よ」 ステファン・ポップ レナータ・ヴァリ
- 私の名はミミ(本記事の冒頭の歌)
第2幕 カフェで楽しむ若者たち
カフェでの食事を楽しむ芸術家4人とミミ。
そこに画家のマルッチェロの元恋人ムゼッタが、パトロンの男とやってきます。
ムゼッタはすでに気の無いマルッチェロにたいして誘惑をこころみますが中々振り向いてはくれません。
しかし、ムゼッタの押しの強さにマルッチェロは根負けし、よりが戻ります。
食事を終えたみんなは、思いのほか勘定がかさんでいたことにビックリ、もちろん手持ちのお金が足りるわけはありません。
そこで4人の芸術家の卵たちとふたりの少女は、ムゼッタのパトロンに勘定を押し付けて店を飛び出してしまうのでした。
第2幕の有名な曲
-
私が街を歩けば
第3幕 望まぬ別れ…
雪の降る寒い日、恋人同士となったマルッチェロとムゼッタは収入を得るために酒場で働いていますが、そこへ咳き込みながらもミミがやってきます。
最近、ロドルフォが冷たく、「別の恋人を探せ」とまで言ってくるとのことで、相談を持ちかけられます。
そこに急きょ、ロドルフォがやってきたためミミは急いで身を隠します。
そこで話されたのはロドルフォの本当の思いでした。
つまり、「ミミの病気は結核であり、収入の安定しない自分と一緒にいてはミミは助からないので別れなくてはならない」ということでした。
そこにミミがあらわれ、ふたりは愛し合いながらも別れることを決意します。
第3幕の有名な曲
- あなたの愛の声に呼ばれて出た家に
第4幕 ミミの願い
ロドルフォは、また元の生活に戻りますがミミのことが中々忘れられません。
執筆作業もはかどらないまま時は流れるばかり…。
そんなある日、瀕死のミミを抱えてムゼッタがやってきます。
もう長くない命の時をロドルフォと過ごしたいとのミミの願いを叶えるためでした。
みんなは身につけていたものなどを売りに行きながらお金の工面に奔走します。
しかし、すでに手遅れであることはミミにはわかっていましたので、こうしてロドルフォに会いに来たのでした。
ふたりは楽しかった日々を振り返りながら語り合います。
そうこうしているうちにみんなが戻ってきますが、ミミは力つきてその短い命を終えてしまいます。
ロドルフォは泣き崩れて物語は幕を閉じるのです。
第4幕の有名な曲
- みんな行ってしまったのね
Pavarotti & Freni -Sono Andati
【おすすめ名盤の解説】プッチーニ:ラ・ボエーム
ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
「神に祝福された声」と異名をとったパバロッティのロドルフォの声は「天まで届いているような抜ける声量が魅力」の名盤です。
また、フレーニの演じるミミの声の透明感やさわやかさも、プッチーニ:ラ・ボエームの青春群像を究極までに表現していて好感が持てる名盤でもあります。
1972年の古い録音のわりにはクリアに響いて聴きやすいですのでオススメ名盤ですね。
トゥリオ・セラフィン:指揮
サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団&合唱団
アルパカのおすすめ度★★★★★
【名盤の解説】
ベルゴンツィの重厚感のあるロドルフォ役、またテバルディの清楚な声はミミ役にピッタリの名盤です。
また、「イタリア・オペラと言えばトゥリオ・セラフィン」というくらいのイタリア・オペラの代名詞的な存在とも言える歴史的な名盤です。
完璧主義のカラヤンを選ぶか、イタリア・オペラの代名詞のセラフィンを選ぶかは迷うところですが、それは贅沢な悩みなのかもしれません。
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤2選、まとめ】プッチーニ:ラ・ボエーム
さて、プッチーニ:ラ・ボエームの解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?
現代、「貧しい青春」のイメージはしにくい現代ではあります。
ただ、青春の頃の喜びや、葛藤はいつの時代もそう大きく変わることはないことでしょう。
さあ、「古くさい…オペラなんて…」
と、敬遠する前に一度、観てみて、感じてみませんか?
現代では発見できない新しい魅力が発見出来るかもしれませんよ。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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