エスプリの効いた
音楽が多いプーランクの
「寂しさ」を含んだ小さな1曲
プーランク:愛の小径(こみち)は、3分ほどの短い歌です。
とても心に残る「優しいメロディに満ちたプーランクの名曲」だと思います。
プーランク:愛の小径(こみち)の可愛らしさは、その歌詞にもあらわれています。
まずは、その、歌詞のあらましを書きとめておきましょう。
ー愛の小径(こみち) ー
海への小径(こみち)は
ふたりの通りし、そのあとの
恋を占い、ちぎった花びら
2つの明るい笑いのこだまが残る
ああ、幸福な日々、
光り輝く喜びも、去る
そんな心を、見出せぬまま、
ふたたび私は、小径(こみち)をたどる
愛の小径(こみち)
私はあなたを探してる
消えた小径(こみち)よ、あなたはもういない
けれど、あなたを探してる、
けれど、こだまは聞こえない
うつろな小径(こみち)
思い出の小径(こみち)
初めての日の小径(こみち)
神聖なる愛の小径(こみち)
忘れなければならない
人生は、すべてを消し去ってしまうから
ある日、私がその小径(こみち)を、
忘れてしまったとしても
私の心には
あの日の愛の強さの思い出よりも
ひとつの小径(こみち)の思い出を
ずっと残しておきたい
そこで、揺れる心のままで、
あなたの熱い手のぬくもりを感じていたい
【解説】プーランク:愛の小径(こみち)
プーランク:「愛の小径」は、もともとは、劇作家、ジャン・アヌイの劇作品「『レオカディア』」の中で歌われれる1曲です。
そして、劇中で歌われる、プーランク:愛の小径(こみち)以外の曲も、とても可愛らしいメロディに満ちていて、素晴らしいのです。
こういった、小さな作品の中に名作が多いのがプーランクの特徴です。
【物語りを解説】プーランク:愛の小径(こみち)
今回のプーランク:「愛の小径」をより楽しむために、プーランク:「愛の小径」が歌われる「レオカディア」の物語についても、あらすじを書きとめておきますね。
とある国の王子、アルベールは、ある日、レオカディアという女性に出会い、ひと目ボレの恋に落ちます。
これから始まる、輝かしい日々を想像する2人。
しかしその思いもむなしく、出会って3日後の夜、レオカディアは事故により亡くなってしまいます。
悲しみにうちひしがれるアルベール王子。
王子の母の持つ、城の中に、レオカディアと出会った時の風景を作り込み、思い出の中に、ひきこもってしまいます。
それから2年の月日が経ちました。
母は、アマンダという、レオカディアにそっくりな女性を見つけ出し、アルベール王子のひきこもる城の中で、レオカディアのように振る舞ってほしいと頼みます。
依頼を引き受けたアマンダは、アルベール王子のいる城におとずれます。
その中で歌われる歌が、プーランクの名曲、「愛の小径」というわけです。
そして、アマンダ王子は、献身的なアマンダと接する毎日のなかで、レオカディアの死を、正面から受け入れていきます。
そして、閉ざされた心が氷解するとともに、アマンダへの想いに気づき、愛するようになっていったのです。
以上、そんなあらすじなのです。
プーランクの作曲当時、フランスの「超」がつくほどの売れっ子歌手だったイヴォンヌ・プランタン。(冒頭のyoutube動画が本人です。)
彼女は、歌手でありがら、また、女優でもあるという、現代で言うところのマルチタレントのような存在でした。
レオカディアの初演で、そのプランタンによって歌われた、プーランク:「愛の小径(こみち)」はまたたく間に流行します。
そして、当時、この曲は、他の多くの歌手たちにも歌われ、また、大衆にも広がりました。
そして、プーランク:「愛の小径(こみち)」は、現在も、さまざまにアレンジされ、ピアノやチェロ、ヴァイオリンなどでも演奏され、愛され続けています。
【3枚の名盤を解説】プーランク:愛の小径(こみち)
ダニエレ・ダリュー:歌 アレクサンドル・タロー:ピアノ 他
アルパカが初めて、プーランク:「愛の小径(こみち)」と出会った記念のアルバム。
それまで、「プーランク」と聞いても「?」と思っちゃうくらい、曲を知りませんでした。
でも、
「このアルバム、安い!」
そんな安易な理由から購入したら、予想に反して、エラく感動してしまったという体験があります。
それからは、プーランクも、よく聴く作曲家になりました。
プーランクは、こんな小曲が可愛らしくていいんですよね♫
このアルバムの、プーランク:「愛の小径(こみち)」は、むしろ淡々とした歌い方ではあります。
情感たっぷりに悲哀や、優しさを歌うアルバムもいいものですが、このようなサラッとした味わいで歌ってもらった方が、アルパカとしてはいいな。
もともとは、情感を歌い込めて歌う、「シャンソン系の雰囲気を持つ歌」ですので、このアルバムを嫌う方もいるかもですね。
ただ、劇としての「レオカディア」を全編を通して聴くには、こんな歌い方のほうが、劇にマッチしていていいなと思うのです。
とりあえず、「アルパカ」の感想ということでした。
鮫島有美子:指揮 ヘルムート・ドイチュ:ピアノ
アルパカは、鮫島有美子さんの「日本の童謡」を歌ったアルバムが大好きです。
そして、本アルバムは、「ヨーロッパの唱歌」を集めたもので、やっぱり美しい歌声はどの国の歌を歌っても、感動させてくれますね。
透明感のあるその歌声は、子守唄を聴いたときのような安心感ですね。
ミッシャ・マイスキー:チェロ ダリア・オヴォラ:ピアノ
Apple Musicで “紹介した名盤” が配信中
【解説と名盤、まとめ】プーランク:愛の小径(こみち)
さて、プーランク:愛の小径、名盤の紹介や、あらすじの解説はいかがでしたか?
小さな規模の可愛らしいプーランクの曲。
好きな飲みものでも用意して、音楽のやわらかい光を浴びてみませんか?
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
こんな音楽物語もいいですね。