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モーツァルト:ピアノ協奏曲第13番【解説と名盤3選】熱狂のウィーン!大成功を呼んだ舞台裏

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皇帝も大絶賛!

ウィーンでの独立を飾る

華麗な協奏曲

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ウィーンでフリーランスとして独立を果たしたモーツァルト。新天地での予約演奏会で披露されたのが「ピアノ協奏曲第13番」です。交響曲のような壮大な響きと華やかな技巧が見事に融合し、皇帝ヨーゼフ2世をも大いに熱狂させました。

本記事では、モーツァルトの人生において重要な転機となった名曲の誕生背景から、当時の熱気が伝わる演奏会プログラムを解説します。各楽章の聴きどころや作品の魅力を存分に味わえる名盤3選も紹介

モーツァルトの才能が発揮された祝祭的な響きをぜひ!

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解説

モーツァルトの成功物語

大好きなお父さん!私の発表会の成功についてあれこれと申し上げるまでもないと思います。多分もうお聞きになっていることでしょう。ともかく、劇場はこれ以上詰めこむ余地がないくらいで、ボックスも全部ふさがりました。何よりも嬉しかったのは、皇帝陛下(ヨーゼフ2世)がお見えになり、大層ご満悦の様子で、大いに喝采をして下さったことです。

柴田治三郎 編訳『モーツァルトの手紙』より(1783年3月29日 父親宛て)

ザルツブルク大司教のコロレド伯との対立を機に、フリーランスとしてウィーンで独立を果たしたモーツァルト。新天地でのキャリアを盤石にするために自ら予約演奏会を企画します。演奏会において披露するための3曲のピアノ協奏曲が第11から13番でした。

モーツァルトはピアノ協奏曲第11から13番において、ウィーンの聴衆がより好むように配慮しながら作曲を行い、幅広い層を狙ったのです。

3曲のうち最後に作曲された第13番は、祝祭的な壮大さをともなう独特な存在感を放っています。トランペットとティンパニが導入され、ハ長調という輝かしい調性と相まって、まるで交響曲のような力強い響きが特徴です。

同じ頃、モーツァルトは父への手紙で別の曲とともに「むずかしいのとやさしいのの丁度中間のもので、非常に華やか」と語っています。ピアノ協奏曲第13番も技巧を要しながらも、誰の耳にも心地よく響く絶妙なバランスのもとに作られました。

冒頭の手紙にもあるように、モーツァルトの狙いは大当たりします。

予約演奏会は1783年3月に3回にわたって行われ、3月23日の公演には皇帝ヨーゼフ2世が臨席。慣例であれば途中で席を立つことも多かった皇帝ですが、この日は最後まで残り、何度も拍手を送ったという異例の記録が残っています。

興行的にも大成功を収め、この1日だけで1,600グルデンもの収入を得ました。当時のウィーンの上級官吏の年収を優に超える額だったということですから驚きです。当時のウィーンの聴衆がいかにモーツァルトを温かく、そして熱狂的に迎え入れたかが伝わるエピソードです。

 

予約演奏会プログラム

1783年3月23日の予約演奏会プログラムを紹介しましょう。当時のコンサートが、いかにバラエティに富んだ内容であったかがわかります

1.交響曲第35番《ハフナー》第1から第3楽章

2.オペラ《イドメネオ》から アリア『もし父をなくしていたら』

3.ピアノ協奏曲第13番(本記事で解説している曲)

4.バウムガルテン伯爵夫人のアリア K.369

5.セレナード第9番《ポストホルンセレナード》第3楽章

6.ピアノ協奏曲第5番(第3楽章はK.382に差し替え)

7.オペラ《ルチオ・シラ》より アリア『発とう、急いで』

8.ピアノ独奏:

  • a)小さなフーガ(曲目不詳、即興だった可能性あり)
  • b)『哲学者気取り』パイジェッロのオペラアリアによる変奏曲K.398
  • c)『メッカの巡礼』グルックのオペラアリアによる変奏曲K.455

9.アリア ロンド K.416

10.交響曲第35番《ハフナー》第4楽章

1783年3月23日の予約演奏会プログラム曲を実際に演奏した珍しいアルバムがあります。全曲収録ではありませんが、当時の生き生きとした雰囲気が伝わることでしょう。

初演:1783年3月23日のウィーンブルク劇場にて

作曲:1783年

編成:

ピアノ独奏

弦楽(バイオリン2部、ビオラ、バス)、オーボエ×2、ファゴット×2、ホルン×2、トランペット×2、ティンパニ

※管楽器を除いた「ピアノ+弦楽四重奏」でも演奏可能

 

各楽章を解説

第1楽章 アレグロ

[速く]

冒頭は、弦楽器によるフガート(1つの主題を複数の声部が次々と追いかける展開)で幕を開けます。

モーツァルトのパトロン、ヴァン・スヴィーテン男爵の邸宅でバッハやヘンデルの楽譜に触れた影響が大きいと言われています。

バロック時代から受け継がれるフーガの技法を、自身の音楽スタイルへと吸収しようとしていた頃の「学びの成果」が色濃く反映されています。曲全体の華やぎを予感させる、勇壮な始まりの楽章です。

 

第2楽章 アンダンテ

[歩くような速さで]

トランペットとティンパニの黙した静寂世界を、ピアノと弦楽器を中心としたオーケストラが、穏やかに旋律を歌い上げる楽章です。

当初、モーツァルトは第2楽章をハ短調で書くことを考えていましたが、最終的にヘ長調へと変更しています。理由は定かではないものの、後の第3楽章で不意に現れるハ短調エピソードがいっそう際立ち、転調の妙が引き立てられると感じます

全編を通して平静さと癒やしに満ちた、心落ち着くハーモニーが魅力です。

 

第3楽章 ロンドーアレグロ

[速く]

弾むような陽気な主題の合間に、突然テンポを落とした「ハ短調のアダージョ」が挿入されます。「絶望」すら予感させる深い寂しさは、単なる娯楽音楽を超えたドラマに引き込むのです。

モーツァルト晩年の音楽に潜む悲哀は深いものがありますが、この第3楽章の短調部分には、その兆しがすでに表れています。

しかし全体としては、パワフルで前進するエネルギーに満ちあふれているのがこの楽章の大きな魅力でしょう。

 

名盤3選の感想と解説

クララ・ハスキル:ピアノ|ルドルフ・バウムガルトナー:指揮|ルツェルン音楽祭弦楽合奏団 

【名盤の解説】

ハスキルの透明度の高い演奏に触れる時、ピアノ協奏曲第13番に宿る新鮮な命を感じることでしょう。技巧を見せてくるような誇張も過多な情念も皆無であり、孤高の境地からあふれる美感に言葉を失います

ハスキルの奏でる音は、決して生への諦念からくる虚無的な透明感ではありません。澄み切った泉が静かに流れ出るように、ただそこに音楽そのものが自然に存在しているかのような純粋さが魅力です。

若き日の不遇を経て、晩年になってようやく才能が広く認められたハスキル。もはや「自分を良く見せよう」といった自意識など微塵も感じられません。

ハスキルの奏でる音は、あらゆる「自意識」から解き放たれた、どこまでも無垢で自然なモーツァルトなのです。

 

アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ:ピアノ|コード・ガーベン:指揮|北ドイツ放送交響楽団 

【名盤の解説】

ミケランジェリの弾くモーツァルトは、「モーツァルトらしからぬ」アプローチでありながら強い魅力を放つ、異色の名盤です。

豪華絢爛なピアニズムは、一見モーツァルトに不向きに思えますが、ピアノ協奏曲第13番のような華やかな曲調には合致するように感じます。一音一音をどこまでも丁寧に弾き込んでいるにもかかわらず、ミケランジェリ本来の圧倒的な美音がこぼれ落ちてくるかのようです。

奏者によって変幻自在に表現できる、それがモーツァルトのある意味最大の魅力なのかもしれません。あえて「モーツァルトらしくない」アプローチからその真価を再発見する、そんな新鮮な面白さを味わえる稀有な録音です。

 

イングリット・ヘブラー:ピアノ|サー・コリン・デイヴィス:指揮|ロンドン交響楽団 

【名盤の解説】

ヘブラーの録音は、モーツァルトの「自然体」へと帰ることができる、まろやかで味わい深い名盤です。長年モーツァルトを弾き込み、彼女の身体の奥底まで染み込んだ音楽性が、飾り気のない純粋な表現を生み出しています

決して派手さはなく淡々とした佇まいですが、そこには純粋にモーツァルトを追求した彼女ならではの確かな「モーツァルトへの愛情」が息づいています。

ハスキルの孤高な響きや、ミケランジェリのような圧倒的な風格に耳が疲れてしまったら、ヘブラーの演奏が優しく癒やします。

そよ風のような優しい調べはいつ聴いても安心できる「故郷」としてのモーツァルトに出会えたと感じられるはずです。

 

まとめ

ピアノ協奏曲第13番は、独立という人生の大きな節目においてモーツァルトが才能を存分に発揮した作品。ウィーンの聴衆と皇帝の心を見事に掴みました。

圧倒的で豪華なミケランジェリ、愛らしく安心感のあるヘブラーのモーツァルト、透明度の高いハスキルの感動的名盤も推してみました。聴き比べることで、この曲が持つ多面的な魅力に改めて気づくことができるのではないでしょうか。

ぜひあなたも、モーツァルトが仕掛けた華やかな音楽の魔法を、ご自身の耳でじっくりと堪能してみてくださいね

 

 

 そんなわけで…

『ひとつの曲で、

たくさんな楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の醍醐味ですよね』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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