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春に聴きたい【おすすめクラシック15選】ピアノと合唱、オーケストラ

メンデルスゾーン:無言歌集【おすすめ名盤3枚を解説|感想】春の歌でそよ風を感じよう♫

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これは「音の詩集♫」

優しく心に触れてくる

そよ風のような「春の歌」


メンデルスゾーン: 春の歌

 

メンデルスゾーンのピアノ作品集である「無言歌集」。

「無言」のうちに「歌集にまとめる」なんて、なんともシャレてます。

とても仲の良かったメンデルスゾーンの姉、ファニーが「無言歌集」と名づけたと言われていますね。

メンデルスゾーンの「音」によって表現された歌心であるピアノ作品集「無言歌集」の解説とおすすめ名盤を紹介です。

 

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【解説】メンデルスゾーン:無言歌集

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メンデルスゾーンの歌ごころを思わせる、こんな解説があります。 

ショパンが生涯に渉ってマズルカ(ポーランドの民族舞踊)を書き続けたように、メンデルスゾーンは《無言歌》を書き続けたのであった。

僅(わず)かな例外を除いてはすべてリード形式であり、俳句とか、短歌のように、短い小曲の集まりで構成されている。

これらは、一種のエチュード(練習曲)としても把(とら)えることができる。

旋律と伴奏の練習曲。

テンポをくずさずに、よく歌うこと。

機械的にならないこと。

ツェルニーは上手に弾けても、《ヴェニスのゴンドラの歌(舟歌)》が駄目な子供はいくらもいるのである。

出典:諸井誠 著 「ピアノ名曲名盤100」P86より引用

 

まさしくこの「歌」の部分がメンデルスゾーンの素晴らしいところですね。

つまり、「テンポをくずさずに、『よく歌うこと』」

言葉のない「無言歌集」は「声」ではなく、音によって『よく歌う』

このあたりがキモのように感じますね。

 

ちなみに、「無言歌集」全48曲ある中で、メンデルスゾーンが名づけた曲は8曲です。

その中でも、

 

ハッキリと「題名」として記したものが下記の5曲で、

  • ヴェネツィアの舟歌3曲(第1番の6曲目、第2番の6曲目、第5番の5曲目)
  • デュエット(第3番の6曲目)
  • 民謡(第4番の5曲目)

 

また、楽譜上に、さらりと印象をメモった、いわば「標語」としてのこっているのは4曲で、

  • 葬送行進曲(第5番の3曲目)
  • 春の歌(第5番の6曲目)
  • 紡ぎ歌(第6番の4曲目)
  • 子守歌(第6番の6曲目)

となります。

 

それでは、次章から、48曲の中でも、とくに「印象的な曲」について、解説したいと思います。 

 

【春の歌を解説】メンデルスゾーン:無言歌集

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では「無言歌集」のなかでも、もっとも有名な1曲、「春の歌」(第5番の6曲目)から解説です。

 

ポロン、ポロン…♫

ポロン、ポロン…♫

ポロン、ポロン…♫

 

弾むような春の気持ちが伴奏によって奏でられながら、まさしく「春の歌」とも言える優しいメロディが溶け合っていきます。

 

当時、12歳のメンデルスゾーンに送った文豪ゲーテのこんな言葉があるようです。

 

ゲーテは彼の才能にほれ込み、

「魔法使いのホウキが厳粛(げんしゅく)な楽譜の上を飛び回れるのなら、君もそれにまたがってごらん。

もっと広い音の世界をかけ巡(めぐ)って、もっともっと楽しませておくれ、力一杯やり終えた時、またここに戻ってきておくれ。

出典:ひのまどか著「メンデルスゾーン : 美しくも厳しき人生」より」 

 以上、歌詞を想像してみて!メンデルスゾーン「春の歌」というページから引用させていただきました。

 

この《春の歌》をはじめ、「無言歌集」全体が、まさしく

  • 魔法使いのホウキが厳粛(げんしゅく)な楽譜の上を飛び回り
  • メンデルスゾーンも、それにまたがって

作曲をして、私たちを思い切り楽しませてくれますね。

 

【第1集を解説】メンデルスゾーン:無言歌集

 

甘い思い出:第1曲目

まるで小川が

さらりさらりと、ゆったりと、

静かな刻(とき)をきざむよな

ふりかえり見れば

ゆったりと、「甘い思い」が

ゆきすぎる 

 

後悔:2曲目

悔いる気持ちは

尽きなくて…

戻れないけど、戻れない

未来は果てなく続くのに…。

狩人(狩り)の歌:第3曲目

狩りをする際に使われる角笛。

その音のイメージがこの「狩人の歌」と名づけられた理由のようです。

たしかにアクティブに狩りをするスピード感があります。

ないしょの話(信頼):第4曲目

ないしょの話は、たわいない

けれども大切、よりどころ

人さし指をまっすぐ立てて

しー、しー、しー…。

にっこり笑って

しー、しー、しー…。

ヴェネツィアの舟歌:第6曲目

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「無言歌集」48曲中、3曲に 《ヴェネツィアの舟歌》という題名がついています。

どれも悲しげで静かな曲です。

水の都の雨続きなイメージが感じられて、さびしげでもありますね。 

 

【第2集を解説】メンデルスゾーン:無言歌集 

なぐさめ:第3曲目

日々の暮らしの中で、

  • くやしいこと
  • つらいこと
  • 悲しくなること

は、無くなりません。

 

それでもかすかな、なぐさめは、

季節を彩(いろど)る花たちと、

走りすぎてく子どもたち

元気をたくさんもらったら、

も一度、顔を上げてみよ

わた菓子のよな白い雲

気持ちよさそに、浮かんでる…

 

さすらい人(道に迷って):第4曲目

無言歌集…

言葉なくしてさまよえる

心ざわめき胸騒ぎ…

 

ヴェネツィアの舟歌:第6曲目

雲は暗くてねずみ色

ずしりと重い ねずみ色

落ちて来たるは銀の糸…

水の都に刺さる糸…

 

【第3集を解説】メンデルスゾーン:無言歌集

 

詩人のハープ(竪琴):第3曲目

竪琴(たてごと)かかえるアポロンは

ギリシャの晴れ空かけぬける

そのさわやかな音たてて…

 

デュエット(二重唱):第6曲目

高い声と

低い声

2人楽しくしゃべってる

恋人同士のお話が

はずみにはずんで

午後のこと…

 

【第4集を解説】メンデルスゾーン:無言歌集

 

岸辺(海辺)にて:第1曲目

寄せてはひいてをくり返す

やさしい思いは寄せて来い

つらい思いはひいとくれ

波は止まらぬいつまでも…

寄せてはひいてをくり返す

 

浮雲:第2曲目

ドサッと若草、寝転ぶと

見えてくるのは抜ける青…

そこに浮かぶは白い雲

一緒に笑うよ、大(だい)の字で…

 

胸騒ぎ:第3曲目

憂(うれ)いの心が

わいてきて

あせる気持ちをもてあそぶ

止まっておくれよ、胸騒ぎ

 

民謡:第5曲目

メンデルスゾーン自身が名づけた1曲で、「陰」がありながら情熱的で印象的な仕上がりになっています。

非常にアップテンポに進みながらも内省的な魅力もある名曲です。 

 

【第5集を解説】メンデルスゾーン:無言歌集

 

5月のそよ風:第1曲目

おでこにかかる前髪が、ふと遊ばれて

手をそえる

なのに、ふたたび遊ばれて

やっぱりそっと、手をそえる

そんなそよ風、5月のこと

出発(門出):第2曲目

はずんでる

足どり軽くはずんでる

心も軽くはずんでる

未来もきっとはずんでる

そんな門出を祝う朝

 

朝の歌:第4曲目

祝福の歌とともに朝、迎え

希望の門出を祝おうよ!

 

ヴェネツィアの舟歌:第5曲目

地をたたく

タタタ、タタタと

地をたたく

肩を落として鳴る足音と

鼓動とともに落ちる雨…

 

春の歌:第6曲目

本章の冒頭で解説しました。

 

【第6集を解説】メンデルスゾーン:無言歌集 

失われた幻影:第2曲目

失われた「夢」と言われることもあります。

暗い基調の1曲でまさしく「夢」が失われる時のようなイメージに聴こえます。

紡(つむ)ぎ歌:第4曲目

糸車がカタカタ回って、糸を紡ぐさまが浮かぶような1曲です。

たくさん回って紡がれていくさまは、まさしく音楽が紡がれていく様子と似ているのかも…。

何かモワッとしたインスピレーションのようなものが整然とカタチになっていくような感じでしょうか?

 

子守唄:第6曲目

まるで楽しい夢を見る、子供の世界を見てるよな…。

「無言歌集」とはよく言ったもので、言葉以上に夢の世界を語っているように感じます。

 

【第7集を解説】メンデルスゾーン:無言歌集 

悲歌(エレジー):第4曲目

悲歌(エレジー)と呼ばれているわりには、優しくてあたたかい雰囲気の1曲です。

ずっと遠くのその先の、おとぎの国の物語。

そんな幻想的な1曲です。

 

【第8集を解説】メンデルスゾーン:無言歌集 

タランテラ(乗馬):第3曲目

まるでみんなで集まって

楽しく踊っているみたい

ステップ軽やか、タタタンタン

もひとつ行きましょタタタンタン

みんなで笑って集まって

うれしさいっぱいタタタンタン  

【3枚のおすすめ名盤を解説】メンデルスゾーン:無言歌集

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ダニエル・バレンボイム:ピアノ

 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

 

貴重な全曲版です。

モーツァルトの演奏における、みずみずしい一音一音が印象に残るバレンボイム。

そのメンデルスゾーンが、どのようなものかは容易に想像がつきます。

無言歌集においては表情の豊かさが重要になりますが、バレンボイムの「洗練されていながら、それが決して鼻につかない」語り口がニクイ名盤です。

ピアノに歌わせる術(すべ)を心得ているバレンボイムにはこのメンデルスゾーン:無言歌集はピッタリ。

そんな感想の名盤です。

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ワルター・ギーゼキング:ピアノ

 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

抜粋版です。

どこか淡々としていながらも他の演奏家には聴かれない「洞察」のようなものを感じる名盤です。

感性よりは理性を優先させて切り込んだ、メンデルスゾーン:無言歌集の「クールでありながらも深い深淵をのぞかせてくれる」名盤でもあります。

こんなアプローチは意外と悪くないです。

 

アンドラーシュ・シフ:ピアノ

 

アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

抜粋版です。

さわやかな魅力にあふれた名盤です。

明るい曲は澄んでいて、暗い曲は深刻になりすぎることのない名盤です。

全体的に楽天的で、とても聴きやすい名盤でもあります。

初めてメンデルスゾーン:無言歌集を聴く方にはオススメかもしれません。 

 

【解説と名盤、まとめ】メンデルスゾーン:無言歌集

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さて、メンデルスゾーン:無言歌集の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

最近、

  • クサクサする
  • 納得いかない
  • 感情の整理ができない

そんな状況におちいっていませんか?

メンデルスゾーン:無言歌集はそんな「こんがらがって、ねじれた心」を、そっとほどいてくれる魅力がありますよ。

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

たくさんな、楽しみが満喫できる。

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

www.alpacablog.jp

 

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