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ブラームス:クラリネット五重奏曲【解説と名盤3枚|感想】

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寂(さみ)しさと…

悲しさ、苦しさ、

美しさ…

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さて、今回は、ブラームス《クラリネット五重奏曲》の解説とおすすめ名盤を紹介です。

【ここをクリックすると名盤の解説へ飛びます】

 

【解説】ブラームス《クラリネット五重奏曲》

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曲の解説

ブラームス《クラリネット五重奏曲》のこんな解説があります。  

名作ひしめく彼(ブラームス)の室内楽曲の中でも名実ともに一、二を争う大傑作である。音楽的構造の面からみればバロック、前古典期の様式からロマン的変奏までを包括して独自の綿密な配慮に貫かれ、碩学ブラームスの面目が全曲に現われているが、またクラリネットの持つ独特の表出力を存分に活用して情緒の深さにおいても彼の到達点を示しており、とくにラプソディックなアダージョ楽章が有名である。しかし、一番凝った音楽は終楽章で、技巧面でも感情面でも全曲を強く収斂(しゅうれん)している。

出典:大木正興・大木正純 共著 「室内楽名曲名盤100」P148より引用

ブラームスのクラリネット五重奏曲とともに、室内楽曲そのもののすばらしさを表現した解説ですよね。

 

まさしく、ブラームスの音楽の持つ

  • 暖かく
  • やさしく
  • どこか、寂しい…

そんな特徴がクラリネットによって表現されていると感じるのは私アルパカだけではないのでは…。

作曲の時期とその動機

ブラームス《クラリネット五重奏曲》は、1891年の夏に避暑地バート・イシュルで作曲されました。

 

その前年、57歳のブラームスは《弦楽五重奏曲第1番》の作曲を終えると、こう思います…。

 

「私の創作力は限界にきた、もう再び大作のペンを取ることはなかろう…」。 

 

しかし、それから間もなくしてブラームスは、クラリネット奏者のミュールフェルトに出会います。

どうやらこのミュールフェルトが、ブラームスの創作意欲に火を付け、油を注いでしまったようです。

そして、ついこの間した決心はどこへやら…ブラームスはいそいそとクラリネットが活躍する楽曲を完成させてしまったのでした。

それが、クラリネット三重奏曲と、そしてクラリネット五重奏曲の2曲。

 

ブラームス自身はクラリネット三重奏曲の方を気に入っていたのですが、聴衆からの評価はクラリネット五重奏曲の方が高かったとのこと。

しかもその3年後には2曲のクラリネットソナタを作曲しています。

「…?」

 

ブラームスさん、あなたの創作力は「限界」だったのでは…?



…て、ツッコミたいところですが、やっぱりその創作力は素晴らしいですね。 

 

ちなみに《クラリネット五重奏曲》の初演は1891年11月24日に《クラリネット三重奏曲》とともに行われました。

マイニンゲン公の宮廷において、非公開ということで行われました。

奏者は、クラリネットはもちろん、リヒャルト・ミュールフェルト。

それからヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒム、およびマイニンゲン宮廷管弦楽団からその他の奏者が選ばれました。  

【各楽章を解説】ブラームス《クラリネット五重奏曲》

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それでは、各楽章について解説します。

ブラームス《クラリネット五重奏曲》は第1楽章から第4楽章までの4曲で成り立っています。

第1楽章 アレグロ

彩度を落としたセピア色な印象を持ちながら、その細やかで目に見えない感情は、むしろ数限りない色を持ち寄りきわめて色鮮やかに変転します。

  • 嵐のようで
  • 地響きのようでもある
  • 絶望…

そんな、内面を描きながらもクラリネットをメインにした5つの楽器のみでその情感を描ききる…。

なんとも信じがたく、耳を疑うようでありながら、これが現実であることに驚き、そこにむしろ光明を見る思いが湧いて出る…。

そんな名曲、楽章です。

 

第2楽章 アダージョ

  • 憂いとも…
  • 悲しみとも…
  • 絶望とも、とれず…。

でも、それらを含みつつ、どこかそれらを超越した澄み切った諦観(ていかん)とも感じます。

 

晩年のブラームスのなんとも言えない優しさ…。

それは、苦しくも辛いこの世を生きる多くの人びとに「音楽」という言語に姿を変えて癒やすブラームスの言(こと)の葉…

 

「創作力の限界…」

 

そんな「芸術家にとっての最大の致命傷」を感じ取ったブラームスが、心を究極なまでに虚(むな)しくした瞬間に訪れる…

  • やさしく
  • 調和され
  • 慈しみに満ちた

透明で美しいインスピレーション(霊感)の泉…。

そんな、しみじみとして降りてくる…光…。

 

この第2楽章は、ブラームス《クラリネット五重奏曲》の聴かせどころのひとつと言えますね。

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第3楽章 アンダンティーノ

穏やかであり、平和であたたかい陽光が差すようなブラームス《クラリネット五重奏曲》の中のオアシスと言えそうな感覚の1曲です。

とは言え、どことなくブラームス《クラリネット五重奏曲》の持つ憂いを静かに閉じ込めたようにも感じられます。 

第4楽章 コン・モート

激しく燃える情感の湧き立つさまが

  • 静かに
  • やさしく
  • たおやかに

主題と5つの変奏によって表され展開していきます。

色鮮やかに姿を変装(奏)させ、そして感情を変転させていくよう…。

 

…最後は…まるで「この世から姿をくらますように…消えゆくように…」深い諦(あきら)めの境地にも似た味わいを残し終わっていきます。 

【3枚の名盤の感想と解説】ブラームス《クラリネット五重奏曲》

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アルフレード・プリンツ:クラリネット ウィーン室内合奏団

アルパカのおすすめ度★★★★★

【名盤の解説】

ふっくらとふくよかで暖かいプリンツのクラリネットが魅力の名盤。

ウィーン室内合奏団との溶け込み方も自然で好感が持てますね。

ブラームスの音楽の持つ暗い情念のようなものが自然でやわらかく表現されていてなんとも心に染みるクラリネットの音色が聴ける名盤とも言えそうです。

 

レオポルト・ウラッハ:クラリネット ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

淡々と、そして情感豊かに歌うウラッハのクラリネットとウィーンコンツェルトハウス四重奏団のコンビに舌を巻く名盤です。

録音の古さはいかんともしがたいものがありますが、それを気になることなく聴けるというところが素晴らしい。

情緒的でメランコリックに過ぎる感も無くはないですが、これはブラームス《クラリネット五重奏曲》の持つ特徴をそれだけ前面に出してきたとも言えそうです。

録音のことはさておき、後世に残したい名盤のひとつであるとは言えそうですね。

 

カール・ライスター:指揮 アマデウス室内管弦楽団 

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アルパカのおすすめ度★★★★☆

【名盤の解説】

切々と訴えてくるクラリネットと、洗練されたイメージのアマデウス室内管弦楽団の歌が調和して透明感のある美しさが現出した名盤。 

こんなに澄み切った演奏を聴いていしまうと、今現在、思わず軸足を地上に置いて活動し生活しているということを忘れそうになります。

一見、否定的とも取れる「悲しみや苦しみ」という感情が、どこまでも透明に昇華されいくような感覚とでもいえましょうか。

これはある意味で「晩年のブラームスの心境を表現しているのでは…」というそんなことを思ってしまう名盤です。 

 

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【まとめ】ブラームス《クラリネット五重奏曲》

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さて、ブラームス《クラリネット五重奏曲》の解説とおすすめ名盤はいかがでしたか?

 

  • 寂(さみ)しさと…
  • 悲しさ、苦しさ、
  • 美しさ…

どこまでも透明で、

どこまでも憂いが深い…なのにどこか朗らかで…。

 

それはなぜかと言えば、諦観(ていかん)をともなった、寂(さみ)しさや悲しさだからなのかもしれません。 

なんとも深くて味わいのあるブラームス《クラリネット五重奏曲》。

  • 雨の日
  • 退屈な日
  • 心がうつうつとする日

そんな機会にじっくりと聴き込んでみるのはアリですね…♫

 

ちなみに、これを書いている今日は一日、雨もようでした…。。。。。

 

 

 そんなわけで…

 

『ひとつの曲で、

 

たくさんな、楽しみが満喫できる。

 

それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』

 

今回は、以上になります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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