変革と
進化
届く、情感!
サロンにたゆたう古典的で優雅なピアノ協奏曲に新しい風を吹き込んだベートーヴェン。後世のロマン派の作曲家たちのピアノ協奏曲にも大きな影響を及ぼしました。
今回はベートーヴェンの革新的なジャンル、ピアノ協奏曲全5曲をまとめてみました。それぞれが個性的ですので聴く際の参考にしていただけたら幸いです。
ピアノ協奏曲を解説
ベートーヴェンのピアノ協奏曲は、情熱的でドラマチックな展開が特徴です。特に第3番以降は、感情の機微が色濃く表現されていて、聴く者の心を打つものがあります。ピアノとオーケストラが対等に対話するような作曲スタイルも斬新で互いにテーマを歌い込めながら重なり合って展開する音楽が劇的です。後の作曲家たちにも多きな影響を与えました。ピアノ協奏曲の可能性を大きく広げ、より豊かで技術的にも高度な音楽を追求するきっかけを作りました。
ピアノ協奏曲全5曲
ベートーヴェンの作曲したピアノ協奏曲、各5曲を解説します。
ピアノ協奏曲第1番
活発で陽気なピアノ協奏曲第1番は、古典派的イメージが色濃く残っています。聴きやすい楽想とはっきりとピアノをメインにしてオーケストラが支えるといった基本的な形を持っています。鍵盤楽器の名手としてウィーンの社交界にベートーヴェンの名が知られ始めたころでした。
ピアノ協奏曲第2番
自然な心情や、素朴な感情を伝えてくるような曲調です。まるでハイドンやモーツァルトのような印象ですが、それもそのはず。実はピアノ協奏曲第2番は第1番よりも以前に作曲されています。ベートーヴェンが直接学んだハイドンとともに、モーツァルトの影響も強かった時期でした。第1番よりも出版が後になったために第2番になりました。作曲後4回の改訂を行ったベートーヴェンですが、出来上がりにはあまり満足していなかったようです。
ピアノ協奏曲第3番
ピアノ協奏曲第3番から明らかに変化がみられ、古典派からロマン派への橋渡しのような立ち位置にあります。交響曲的な壮大な着想をもっており、当時としては珍しく短調の曲として作られています。
耳の病が重症化していく中で「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いたと言われる時期に作曲。以前よりもいっそう深みを増していく契機となったピアノ協奏曲です。
1803年4月の初演の際には、楽譜執筆が間に合わずベートーヴェン自身がピアノ独奏を担当し即興で演奏したエピソードも残っています。
ピアノ協奏曲第4番
ピアノ協奏曲第4番は全5曲ある中で、もっとも個性的で、女性的な柔らかい雰囲気を持っています。第5番は《皇帝》の愛称がありますが、第4番はさしずめ《王妃》といったところ。冒頭はピアノソロから始まりますが、ベートーヴェンの時代では斬新な試みでした。ピアノの同音連打が行われるわけですが、有名な運命交響曲との関連が指摘されることもあります。
ピアノ協奏曲第5番《皇帝》
堂々とした楽想を持っており、曲想がまるで皇帝の姿を思わせます。みなぎる生命力と勇壮な雰囲気、交響曲的なスケールの大きさも兼ね備えた名曲。ベートーヴェンの苦悩の時、インスピレーションの泉が溢れ出してやみません。協奏曲大陸に数多ある王国の、王の中の王。初演でのピアノはベートーヴェンではありませんでした。ピアノ協奏曲第5番が完成した頃には、すでに耳の症状がかなり進行していたためです。
まとめ
変革と
進化
届く、情感!
今回はベートーヴェンのピアノ協奏曲全5曲をまとめてみました。もともと古典的で優雅な雰囲気をもったピアノ協奏曲。ピアノとオーケストラが対等に対話するような作曲スタイルを確立して、斬新な改革でした。ピアノ協奏曲に新しい風を吹き込んだともいえるベートーヴェンのピアノ協奏曲。ぜひ一度、通して聴いてみてくださいね。
そんなわけで…
『ひとつの曲で、
たくさんな、楽しみが満喫できる。
それが、クラシック音楽の、醍醐味ですよね。』
今回は、以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
関連記事↓